デジタル大辞泉
「東人」の意味・読み・例文・類語
あずま‐びと〔あづま‐〕【▽東人】
東国の人。田舎者の意を含んでもいう。あずまうど。あずまど。
「破り子や何やと、こなたにも入れたるを、―どもにも食はせ」〈源・宿木〉
あずま‐うど〔あづま‐〕【▽東▽人】
「あづまびと」の音変化。
「あやしの―なりとも、賑ははしきにつきて」〈徒然・二四〇〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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あずま‐ひとあづま‥【東人】
- 〘 名詞 〙 ( 「あずまびと」とも ) 東国地方の人。いなか者の意を含んだ言い方としても用いる。あずまつ。あずまと。あずまうど。あずまもの。
- [初出の実例]「破籠(わりご)や何やと、こなたにも入(い)れたるを、あつま人どもにも食はせなど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
- 「辺鄙 アツマヒト 郷里分 ヘンヒ 田舎也」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
東人の語誌
「続日本紀‐神亀五年八月」に中衛府に精強な「東舎人」を充てた記事が見え、「同‐神護景雲三年十月・宣命」にも「東人は常に云く、額には矢は立つとも背は矢は立たじ」とあって、奈良時代には東人は勇猛な者と見られていた。しかし、挙例の「色葉字類抄」のように、平安朝以後には田舎、またはみやび心のない田舎者という属性が強く感じられる。
あずま‐とあづま‥【東人】
- 〘 名詞 〙 「あずまひと(東人)」の変化した語。
- [初出の実例]「辺鄙 アツマト」(出典:観智院本名義抄(1241))
東人の語誌
「と」の清濁は不明。「あづまづ」あるいは「あづまうど」の転だとすると濁音か。観智院本名義抄の例は「と」の脇に「ひと」とあり、人の意に解していたものと思われる。ただし、旅人(タビト)や史人(フビト)のトとは同列には扱いがたい。それゆえ処(ト)の意とみる説もある。
とう‐じん【東人】
- 〘 名詞 〙
- ① 東国の人。あずまひと。〔詩経‐小雅・大東〕
- ② 主人。〔水滸伝‐第二回〕
東人の補助注記
「忠義水滸伝解‐二回」に「東人 だんなのこと」とある。
あずま‐うどあづま‥【東人】
- 〘 名詞 〙 ( 「あずまうと」とも ) 「あずまひと(東人)」の変化した語。
- [初出の実例]「今は昔、あづまうどの、歌いみじう好みよみけるが」(出典:古本説話集(1130頃か)二二)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の東人の言及
【党争】より
…朝鮮,李朝における党派の争い。李朝中期に勲旧派(中央貴族層の既成官僚)が士林派(在地両班(ヤンバン)層の新進官僚)に対して行った[士禍]とよばれる弾圧の後,士林派が1565年に政権を掌握するが,士林派は1575年に東人(改革派)と西人(保守派)に分裂した(ただし,東人が優勢)。さらに91年には西人への対応策をめぐって東人が南人(穏健派)と北人(強硬派)に分かれた(ただし,南人が政権を担当)。…
※「東人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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