東塔南谷(読み)とうとうみなみだに

日本歴史地名大系 「東塔南谷」の解説

東塔南谷
とうとうみなみだに

根本中堂の南に位置し、現在は谷の本堂西尊さいそん院のほか一、二の施設を残すのみ。旧跡には丈六じようろく堂・五仏ごぶつ院・実相じつそう院・覚意三昧かくいざんまい院・常楽じようらく院・護法ごほう堂などがあり、ほかに熾盛光曼荼羅を安置した熾盛光しじようこう堂や地蔵堂もあったという。僧坊には天海の本坊南光なんこう(旧法性坊)梶井門跡の本坊円融えんゆう坊、青蓮院門跡の本坊青蓮しようれん(のち禅林院)をはじめ、極楽ごくらく(のち歓喜院)松林しようりん坊、霊山りようぜん(のち遺教院)涼松りようしよう(もと摩尼宝坊、のち松寿院)最教さいきよう院、日増にちぞう(旧桃源院)吉祥きちじよう院・宝積ほうしやく院、竜城りゆうじよう(旧大陽坊)浄教じようきよう(のち実蔵坊)円竜えんりゆう(旧桜本坊)一乗いちじよう(座主仁覚の坊)玉泉ぎよくせん坊・道場どうじよう坊・勝陽しようよう坊・習生しゆしよう坊・浄蔵じようぞう貴所坊・栄光えいこう坊などがみられる。また遺教院の傍らにあった登天石の地には天神社、吉祥院・実蔵坊の付近には稲荷社、歓喜院には弁天社などの社殿があり、白竜はくりゆう蔵や真如しんによ蔵の経蔵、浴室、鐘堂、青蓮水、地蔵水などもあったというが(東塔堂舎并各坊世譜)、明治以後山坊の多くが坂本の里坊に移り、山坊はほとんどが廃絶、現在では上記旧跡の場所すら明らかにしがたい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報