吉祥院(読み)きちじよういん

日本歴史地名大系 「吉祥院」の解説

吉祥院
きちじよういん

[現在地名]三重県海山町引本浦

引本浦ひきもとうらの西外れにある。獅子岩山と号し、曹洞宗本尊釈迦如来。明治三五年(一九〇二)本堂焼失以来、衆寮堂を仮本堂としてきたが、昭和五六年(一九八一)新築された。「続風土記」に「初め浜田吉祥房の護持仏の文珠を安し、世保山吉祥庵と号して真言なりしを、寛文五巳年改宗して庵号をも改めたり」とある。浜田吉祥房の入郷は天正一五年(一五八七)であり、その頃の開基であろう。


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]上里町大御堂

県道新宿しんしゆく―上里線の西に位置する。阿保山真光寺と号し、真言宗智山派。本尊は大日如来。大同元年(八〇六)の創建と伝える。「風土記稿」の大里郡久下くげ(現熊谷市)の項などによると、同村東竹とうちく院の嘉禄三年(一二二七)五月日の年紀をもつ鐘銘に「奉鋳 武州賀美郡阿部村真光寺鐘 右志者為信心大檀那小野氏沙弥妙阿弥陀仏」とある。


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]境町新吉町

境町南部、現岩井市へ至る道の北に所在。亀形山延命寺吉祥院と称し真言宗豊山派。本尊不動明王。寺伝によると興国四年(一三四三)義道が地蔵屋敷じぞうやしきと称される地に伽藍一宇を建立し延命地蔵菩薩を安置。この延命地蔵菩薩は脇屋義治の持仏といわれ、義治の氏寺である鎌倉相承院より当地に移されたもの。正平二年(一三四七)義治より制札など受けたが、元中二年(一三八五)火災で本堂を失し、のち寺下てらしたの地に移る。


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]三次市三次町

比熊ひぐま山南麓にあり真言宗御室派。結城山吉祥院密厳みつごん寺と称し、本尊は千手観音。開基について「双三郡誌」は「承和元年三月創建といふも確証あるなし」と記す。三次町の「国郡志下調書出帳」に「往古ハ境内方四丁ニテ七堂伽藍之由、天文之頃建物多ク在、三吉公家之御祈祷所ニ御座候処、弘治年中為兵火一山焔焼仕縁起ナドハ無御座候」とあり、比熊山南麓一帯を占める広大な寺院であったことがうかがえる。福島正則のとき寺領の大半を削られ、さらに寛永年間(一六二四―四四)三次藩初代浅野長治はこの寺の寺地を割いて鳳源ほうげん寺・妙栄みようえい寺を建立した。


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]菖蒲町菖蒲

見沼代用水の北東にある。真言宗智山派、袋田山安穏あんのん寺と号し、本尊は不動明王。草創の年時は不詳だが、開山は弘鑁、開基は菖蒲城主佐々木源四郎という。佐々木氏は金田を称し、のちに小田原北条氏にくみして天正一八年(一五九〇)豊臣秀吉に滅ぼされたという(風土記稿)。したがって、当院の草創も中世末期ということになろう。慶安二年(一六四九)朱印寺領二〇石九斗をさき村に与えられる(田園簿・風土記稿)


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]山形市千手堂

護国ごこく院とも称する。守国山と号し、天台宗。本尊千手観音。縁起によれば、天平九年(七三七)悪疫流行に際して勅により行基が一寺を建立、千手観音を安置したという。別に吉祥院はもと漆山うるしやま村の観音屋敷にあったが、のちに現在地に移されたと伝承する。本尊は立像で像高一七五・一センチ、平安時代初期の作と推定され、国指定重要文化財。「続日本後紀」承和四年(八三七)六月丁酉(六日か)条に出羽国守小野朝臣宗成が奏請して済苦院を最上郡に建立したとあるが、この済苦院を「東村山郡史」は吉祥院と比定している。


吉祥院
きちじよういん

[現在地名]足立区本木西町

荒川左岸の熊谷堤近くにある。淵江山吉祥院星谷せいこく寺と号し、真言宗豊山派。寺号の星谷は立地する旧本木もとき村の村組(図子)名。本尊は大日如来。開創は正応元年(一二八八)と嘉元三年(一三〇五)の二説が伝えられる。一次資料としては六世賢朝による弘法大師坐像(寺蔵)の胎内墨書銘にある慶長四年(一五九九)が早い。同六年には真言宗の本末争論に加判し、諸院家として寺院統制を行っている(「清滝院宥盛書状」東漸院文書)。寛永一〇年(一六三三)には中本寺としての地位が確認できる(関東真言宗新義本末寺帳)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉祥院」の意味・わかりやすい解説

吉祥院
きっしょういん

京都市南区の一地区。西は桂川,東は西高瀬川に限られ,JR東海道本線をはさんで南北にまたがる。平安時代には菅原氏三代の所領であった。吉祥院天満宮があり,毎年8月 25日の吉祥院六斎念仏踊りは重要無形民俗文化財。かつては京都南西郊の集約的な野菜園芸地帯であったが,現在は工場や住宅が立地し,大部分が市街地化している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典 日本の地域遺産 「吉祥院」の解説

吉祥院

(愛知県岡崎市明大寺町字仲ヶ入38-27)
ふるさとの森」指定の地域遺産。
面積3,250【m2】

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

デジタル大辞泉プラス 「吉祥院」の解説

吉祥院

山形県山形市にある寺院。天台宗。天平年間の建立と伝わる。本尊の木造千手観音像は国の重要文化財に指定。「吉祥院千手堂」とも呼ばれる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android