東西文化論争(読み)とうざいぶんかろんそう(その他表記)Dōng xī wén huà lùn zhēng

改訂新版 世界大百科事典 「東西文化論争」の意味・わかりやすい解説

東西文化論争 (とうざいぶんかろんそう)
Dōng xī wén huà lùn zhēng

1920-22年,中国でみられた反西洋主義の主張。1915年以来,五・四新文化運動では〈民主と科学〉を標語として西洋の科学主義と物質文明を積極的に導入しようという動きがおこった。それに対して,第1次大戦の傷跡の大きさを目撃,ヨーロッパでも〈西洋の没落〉が論じられだしたことをうけて,西洋文化の物質偏重を排し東洋の精神文化を見直そうという声が,胡適らの〈全面的西洋化〉論に反発する伝統主義者のなかからあがった。欧州の旅から帰国し科学の破産を叫んだ梁啓超の《欧遊心影録》(1919)を端緒に,辜鴻銘(ここうめい)は東洋文明こそがよりよき人間をつくると説き,北京大学でインド哲学を講じた梁漱溟は《東西文化及其哲学》(1922)を書いて,中国文化,インド文化によって西洋文化の弊害を救おうと主張し,〈東方に帰れ〉と述べた。23年以降,この論争は,科学万能主義に反対する張君勱(ちようくんばい)と科学を重視する丁文江らによる〈科学と人生観〉の論争にひきつがれた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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