朝日日本歴史人物事典 「松田緑山」の解説
松田緑山
生年:天保8.2.4(1837.3.10)
明治初期の銅版画家。緑山とも。精密な銅版画で知られた初代松本玄々堂の長男として京都に生まれる。幼名亀之助。のち儀十郎,敦朝。緑山,蘭香亭,2代玄々堂と号し,GenⅡ とも署名した。父に学び,京都名所図などの銅版画を出版。また,紀州(和歌山県),水戸(茨城県)などの藩札を製作。その技術を認められ,明治3(1870)年,明治政府から太政官札の印刷を命じられた。7年,政府の依頼による紙幣印刷の仕事を終えたのち,石版技術を学んで玄々堂銅石版工房を組織。多くの弟子を育て,銅版から石版への橋渡しをした。油絵も描き,第1回内国勧業博覧会(1877)に出品した油絵で花紋賞を受けている。
(山梨絵美子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報