レオ13世(読み)レオじゅうさんせい(その他表記)Leo XIII

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レオ13世」の意味・わかりやすい解説

レオ13世
レオじゅうさんせい
Leo XIII

[生]1810.3.2. カルピネト
[没]1903.7.20. ローマ
教皇 (在位 1878~1903) 。本名 Vincenzo Gioacchino Pecci。 1837年司祭。教皇使節,教皇大使,ペルジア司教,枢機卿を経て,77年教皇庁会計院長官。実証主義的近代科学の急速な伸長,70年の教皇領消失という転換期にあって,西欧におけるカトリック復興に貢献した。ドイツ,ベルギーなど反教会的政府に対し協調的外交政策をもってのぞみ,82年フランスの聖職者に対し王党派との一面的関係を戒めた。イタリア政府には教皇領簒奪者とみる強い態度でのぞみ,教皇の独立性を守った。彼の外交政策は,まず 80年代に各国におけるキリスト教教育の復活という成果を結び,90年代にはプロテスタント諸国,特にアメリカにおけるカトリック勢力の復活をみた。またトミズムの意義を強調し,79年の回勅エテルニ・パトリス」でトマス・アクィナスを哲学,神学の指導者とした。 93年の回勅"Providentissimus Deus"で聖書研究を奨励し,社会問題についても,91年の回勅"Rerum novarum"において反社会主義を守りつつ,トマス説に立って国家社会正義労働を論じた。

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20世紀西洋人名事典 「レオ13世」の解説

レオ13世
Leo ⅩⅢ


1810.3.2 - 1903.7.20
元・ローマ教皇,元・ペルジア司教。
ビテルボ(イタリア)生まれ。
本名Gioacchino〉 ジョアキノ〈Pecci ペッチ。
別名Gioacchino Vincenzo〉 ジョアッキーノ・ヴィンチェンツォ〈Pecci ペッチ。
生地のイエズス会で教育を受けたのち1824年ローマで神学、教会法、法学を修める。1837年司祭叙階、1843年ブリュッセルへの教皇大使を経て、1846年ペルージア司教、1853年枢機卿を歴任。1878年教皇就任以後各国との修交に努める。1891年公布の回勅「レルム・ノウァルム」で教会の画期的な社会教説を説き、1903年まで在位。他の回勅にトマス・アクィナスの教えの復権をはかった「永遠なる父の」(1879年)、神学研究を奨励した「最も先見のある神」(1893年)など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「レオ13世」の意味・わかりやすい解説

レオ[13世]
Leo ⅩⅢ
生没年:1810-1903

ローマ教皇。在位1878-1903年。イタリアのビテルボに生まれ,同地のイエズス会で教育を受け,後ローマで勉学。1837年司祭となり,翌年からベネベントの伝道活動に従事,43年ブリュッセルへの教皇大使に任じられる。46年ペルージア司教,53年枢機卿となる。78年教皇就任以後各国との修交に努め,また91年に公布した回勅〈レルム・ノウァルム〉は労働問題をキリスト教的に解決すべき原理を宣明した画期的な文書である。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「レオ13世」の解説

レオ13世(レオじゅうさんせい)
Leo ⅩⅢ

1810~1903(在位1878~1903)

ローマ教皇。政治的発言や行動,ことに国家や労働問題,聖書の近代的研究に関する多くの有名な回勅(特にレールム・ノヴァールム)の発表によって,教会の発展,20世紀の状況への対応の道を開いた。

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367日誕生日大事典 「レオ13世」の解説

レオ13世

生年月日:1810年3月2日
教皇(在位1878〜1903)
1903年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレオ13世の言及

【教皇】より

…パパPapaという親称は,本来ギリシア語のパパスpapas(〈父〉の意)に由来し,東方世界において修道院長,主教,総主教に対して使われていた。ローマでは初めてローマ司教リベリウスLiberius(在位352‐366,以下同)の墓碑に記され,レオ1世Leo I(440‐461)あての東方教会からの手紙にはしばしば現れる。西方教会では5世紀中葉以来ローマ司教のみが〈パパ〉すなわち〈信仰上の父〉〈教皇〉と呼ばれるようになった。…

【キリスト教民主主義政党】より

… キリスト教民主主義とは,もともと近代社会のいろいろな矛盾に対してキリスト教の立場から取り組んでいこうという政治運動を指しており,その最初のものはフランスで1830年の七月革命のときや,1848年の二月革命のときにあらわれたとされている。次いで19世紀末になって社会問題がいよいよ深刻になってきたとき,ローマ教皇レオ13世が《レルム・ノウァルムRerum novarum》(1891)という回勅を発表して反社会主義的立場からの社会問題への積極的な取組みを訴えたことが刺激となって,若い僧侶やインテリ,労働者を中心として再びあらわれてきた。キリスト教民主党Parti Démocrate Chrétienという名称をもった政党が出現してきたのもこのときのことである。…

※「レオ13世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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