松風物(読み)まつかぜもの

精選版 日本国語大辞典 「松風物」の意味・読み・例文・類語

まつかぜ‐もの【松風物】

〘名〙 能「松風」を典拠とする浄瑠璃歌舞伎音曲総称

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デジタル大辞泉 「松風物」の意味・読み・例文・類語

まつかぜ‐もの【松風物】

浄瑠璃歌舞伎歌謡などで、謡曲松風」に取材した作品義太夫節「松風村雨束帯鑑」、長唄汐汲」、清元節「今様須磨の写絵」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松風物」の意味・わかりやすい解説

松風物
まつかぜもの

歌舞伎舞踊および日本音楽の一系統。能の『松風』に取材したもの。宝暦7 (1757) 年 11月初演の壕越二三治作『松似候 (まつににてそろ) 男姿』 (常磐津) をはじめ『徒髪 (いたずらがみ) 恋曲者』 (富本) など種々作られたが,現在伝わる代表作には『今様須磨の写絵』 (清元) ,『恋男調松風』 (長唄) がある。変化舞踊の『汐汲 (しおくみ) 』 (長唄) は松風の汐汲の条だけを独立させて舞踊化したもの。ほかに松風を海女小藤に替えた傍系のものもいくつかあり,浄瑠璃の『行平磯馴松』の大詰を舞踊化した『浜松風恋歌 (こいのよみうた) 』 (長唄) が残っている。浄瑠璃では,近松門左衛門作『松風村雨束帯鑑 (そくたいかがみ) 』が最も古く,初演は宝永2 (05) ~3年とされ,そのあと『行平磯馴松』『倭仮名在原系図』が作られた。地歌には佐渡島伝八作詞,岸野次郎三作曲の三下がり物『古松風』,これを改変した二上がり物の『新松風』 (『京松風』) などがある。

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