大詰(読み)おおづめ

精選版 日本国語大辞典 「大詰」の意味・読み・例文・類語

おお‐づめ おほ‥【大詰】

〘名〙
江戸歌舞伎で、一番目狂言(時代物)の最後の幕。のちには演劇戯曲最終幕の意。大切(おおぎり)大団円
洒落本・大通愛想尽(1779)「俄に御堂なりわたり、一番めの大詰(オオツメ)を見るやうに、うしろよりやみなんやみなんと声をかけ」
物事終末段階終局
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一〇(1760)義一「大詰(つメ)は是と心で小間物屋

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デジタル大辞泉 「大詰」の意味・読み・例文・類語

おお‐づめ〔おほ‐〕【大詰(め)】

芝居の最終の幕、また場面。江戸時代には、一番目狂言の最終の幕をいった。→大切おおぎ
物事の終局の場面。最後の段階。「捜査大詰めを迎えた」
[類語](1終幕大団円大切り/(2終局終焉結末終わりおしまい終了終末果てし幕切れ閉幕打ち止めちょんかんりょうジエンドしま最後最終結び締めくく結尾末尾掉尾とうび・ちょうび土壇場どたんばどん詰まりすえラストエンディングフィニッシュフィナーレ末期的末路成れの果て世も末

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大詰」の意味・わかりやすい解説

大詰
おおづめ

演劇脚本用語。戯曲の筋立てがすべて解決する最後の場面や幕をいう。江戸時代、歌舞伎(かぶき)の一脚本が一番目(時代物)と二番目(世話物)の2部で構成されるのを原則としていたころは、一番目の最後を大詰、二番目の最後を大切(おおぎり)(大喜利(おおぎり))と区別してよんだが、のちには単に一脚本の最終幕をさすようになり、歌舞伎以外でも用いられる語になった。転じて物事の最後を意味する日常語になり、「裁判も大詰に近づいた」というように用いられる。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大詰」の意味・わかりやすい解説

大詰
おおづめ
catastrophe

大団円,カタストロフィー。元来はギリシア悲劇において終結を導き出す筋の変化をさし,その後一般に筋の急変,特に人物の破滅を生むような急変をさすにいたった。戯曲の構造においては,葛藤がすべて解決され,筋の発展の余地がなくなった最後の部分をいう。小説についても用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の大詰の言及

【大切】より

…〈切狂言〉ともいい,ほとんどが舞踊劇。江戸時代,1日1本立てで,それを一番目と二番目に分けるのが作劇の原則だったころは,一番目の最終幕を〈大詰(おおづめ)〉といい,二番目の最終幕を〈大切〉といって道行や舞踊の場面をつけるのが慣例だったが,幕末以後は前幕と関係ない独立した1幕を設けることが多くなった。【松井 俊諭】。…

※「大詰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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