染殿(読み)ソメドノ

デジタル大辞泉 「染殿」の意味・読み・例文・類語

そめ‐どの【染殿】


平安時代宮中貴族邸内で糸や布の染め物をした建物
染物師。また、染物屋。〈日葡
藤原良房邸宅京都正親町おおぎまちの南、京極の西にあったという。

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精選版 日本国語大辞典 「染殿」の意味・読み・例文・類語

そめ‐どの【染殿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 古代、朝廷や貴族の邸内、寺社などにあって、糸または布地を染めるために用いた建物。また、鎌倉幕府で、そのことを担当した部局
      1. [初出の実例]「これはそめどの。〈略〉大きなるかなへ立てて、そめ草いろいろに煮る」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
    2. 染物生業とする人。また、その店。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 藤原良房の邸宅。平安京の正親町小路の北、京極大路の西にあった。良房の娘明子(文徳天皇女御)が晩年ここに住んで染殿の后とよばれ、また陽成天皇がここで生まれている。染殿第。染殿院。
    2. [ 二 ] 明治八年(一八七五)、京都府によって舎密局(セイミきょく)内に開かれた産業振興のための施設。ドイツで染色技術を学んだ中村喜一郎を教師として、合成染料による染色の研究および伝習を行なった。同一四年、舎密局廃止により民間に移管

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世界大百科事典(旧版)内の染殿の言及

【紺屋】より

…職人としての紺搔の誕生は中世初期にさかのぼるが,近世になって紅師,紫師,あるいは茶染師といった職人もあらわれた。こうした紺搔以外の染物職人は中世末期には染殿(そめどの)と呼ばれていたが,やがて染物業者のすべてを紺屋とも呼ぶようになった。染料は植物性のもので,原料植物によってその処理や染色のしかたにちがいがあったため,職人の分化が起こったものと思われる。…

【藤原明子】より

…858年(天安2)清和天皇即位とともに皇太夫人,864年(貞観6)皇太后,さらに882年(元慶6)太皇太后となった。文徳,清和,陽成,光孝,宇多,醍醐の6代50年にわたり,〈染殿(そめどの)の后〉と呼ばれて後宮に重きをなした。良房が〈年経れば齢は老いぬしかはあれど花をし見れば物思ひもなし〉と詠じて,明子を桜花にたとえた話は名高い。…

※「染殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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