六訂版 家庭医学大全科 「染色体微細欠損症候群」の解説
染色体微細欠損症候群
せんしょくたいびさいけっそんしょうこうぐん
Microdeletion syndrome
(遺伝的要因による疾患)
染色体に微細な欠損が起こることによる疾患で、欠損の部位によってそれぞれ異なった症状を示し、症状に気づかれる時期もまちまちです。欠損部分が微細であるため、通常の染色体検査では診断がつかず、FISH法で調べられることが多い疾患です。まれに染色体の
プラダー・ウィリー(Prader-Willi)症候群もこのひとつです。ミラー・ディカー(Miller-Dieker)症候群(17p13.3)は哺乳不良やけいれんで気づかれる疾患です。体格が大きくなるソトス(Sotos)症候群(5q35)、小児期からパニック障害が起こりやすくなるスミス・マゲニス(Smith-Magenis)症候群(17p11.2)、先天性の心疾患と学習障害が起こるウイリアムス(Williams)症候群(7q11.23)など、疾患の診断に貢献した方々の名前をつけて呼ばれています。
22q11.2欠失症候群は先天性心疾患を伴いますが、この部位の欠失は先天性心疾患の5%を占めるともいわれています。免疫不全を伴うとディジョージ(DiGeorge)症候群と呼ばれ、この部分の重複によりCat-eye症候群(22q11.2重複症候群、計4コピー)が起こります。神経線維腫症Ⅰ型(17p11.2)、網膜芽細胞腫(13q14.2)、基底細胞母斑症候群(9q22.32)などにも、全例ではありませんが微細な欠損が報告されています。そのほか、末梢神経の障害が起こるシャルコ・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病(17p12、重複の例の方が多い)、無精子症に関連するYq11.2欠損があります。
古山 順一, 玉置 知子
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報