日本大百科全書(ニッポニカ) 「レックリングハウゼン病」の意味・わかりやすい解説
レックリングハウゼン病
れっくりんぐはうぜんびょう
常染色体顕性の代表的な遺伝病で、神経線維腫(しゅ)症1型ともよばれる。一種の腫瘍(しゅよう)抑制遺伝子に異常がある。皮膚の色素性病変と多発性の神経線維腫を主徴とする母斑症で、1882年ドイツの病理学者レックリングハウゼンFriedrich Daniel von Recklinghausen(1833―1910)が初めて記載した疾患である。人口1万当り3、4人の頻度でみられるが、両親とも保因者でなくても突然変異でおこることもある。乳児期に主として胴や手足に淡褐色の色素斑が多数現れ、学童期以後には指先ぐらいの軟らかい皮膚腫瘍がみられ、すこしずつ増加してときには1000個以上になることもある。また、大きな塊となって垂れ下がることもある。末梢(まっしょう)神経に神経線維腫ができると、硬い塊となって痛みがおこり、悪性化することもある。医療費助成対象疾病(指定難病)に指定されている。
[川村太郎・土田哲也]