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栁澤寿男 やなぎさわとしお

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知恵蔵2015の解説

栁澤寿男

日本の音楽家・指揮者。1971年長野県生まれ。国立音楽大学器楽科トロンボーン専攻卒業。日本大学大学院芸術学研究科在学中の24歳の頃、ウィーン旅行中にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を小澤征爾の指揮で聴いて感動し、指揮者を志す。小澤のビデオを繰り返し見て指揮を独学し、97年6月、佐渡裕を公演前の楽屋に訪ねて弟子入りする。99年渡仏し、パリ・エコール・ノルマル音楽院オーケストラ指揮科に学ぶ。この他、大野和士、ジェイムズ・レヴァイン、クルトマズアらに師事する。2000年、東京国際音楽コンクール(指揮)で第2位に初入賞。以降、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団など、国内の多数の楽団に客演を重ねる。
04年、マケドニアユーゴスラビア国立歌劇場でオペラを指揮して好評を博し、05~07年、同劇場の首席指揮者を務める。07年3月、UNMIK(国連コソボ暫定行政ミッション)統治下のコソボ自治州において、コソボフィルハーモニー交響楽団に客演し、同年10月、常任指揮者に就任。09年5月には首席指揮者となった。
07年6月、バルカンにおける民族共栄を目指して、セルビア人アルバニア人・マケドニア人等の音楽家を楽団員とするバルカン室内管弦楽団を設立。同年の「ニューズウィーク日本版・世界が尊敬する日本人100」に選出される。09年5月、コソボ北部のミトロビッツァにおいて演奏会を実現し、成功を収める。対立する民族による約20年ぶりの歴史的共演は世界中で取り上げられ、日本国内でもBSジャパン「戦場に音楽の架け橋を~指揮者栁澤寿男コソボの挑戦」でコンサートの様子が放送されて10年の第6回日本放送文化大賞グランプリを受賞するなど、大きな話題となった。また、日本の高等学校検定教科書「世界史A」(実教出版)のコラムにも栁澤寿男とバルカン室内管弦楽団の活動が記載されている。10年5月にはボスニア人を楽団員に加え、サラエボ公演を実現した。
この他、バルカン諸国を中心に多くの楽団に客演し、音楽を通して民族対立や抗争の無意味さを訴え続けている。11年5月、ウィーン楽友協会ホールでの公演を成功させる。同年、信濃毎日新聞社「信毎選賞」受賞。13年、栁澤寿男とバルカン室内管弦楽団が出演するドキュメンタリー映画「World Without War」(邦題「戦争なき世界へ」)が全世界で公開される。14年7月5日(日本時間6日)、第1次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件から100年の節目に、平和を祈念しサラエボ国立劇場にてベートーベンの交響曲第九番を演奏し、成功させた。著書に『戦場のタクト~戦地で生まれた奇跡の管弦楽団』(実業之日本社)がある。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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