改訂新版 世界大百科事典 「栄養所要量」の意味・わかりやすい解説
栄養所要量 (えいようしょようりょう)
dietary allowance
〈国民が健康を維持し,十分な生活活動を営むために摂取することが望ましい量〉として,性・年齢・生活活動強度別に,またとくに妊娠期・授乳期の,熱量,タンパク質,脂肪(脂肪エネルギー比率として),カルシウム,鉄,ビタミンA・B1・B2・C・D,ナイアシンの量を示したもの。所要量は科学的に推定される栄養必要量に安全量を加算した値である。所要量は厚生省公衆衛生審議会が策定検討委員会の答申をうけて決定する。1994年に99年の日本人の推計体位を目途にして策定された〈日本人の栄養所要量〉が最も新しいが,5年ごとに改訂される。栄養所要量は,〈食料構成〉(科学技術庁資源調査)の基礎資料になるほか,食糧,福祉などの国の政策・資料の基礎となっている。しかし,まだ規定されない栄養素があり,必要量が不確かであるため安全量の設定も栄養素により異なり,改善の余地がある。
執筆者:豊川 裕之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報