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株主の富 かぶぬしのとみ

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知恵蔵2015の解説

株主の富

ここしばらく、一種のはやり言葉だった「株主の富」や「企業価値」「時価総額」といった経済用語は、ライブドア事件や村上ファンド騒動の煽りを受けて一気にイメージを下げた感がある。これらの用語の背後にある概念は、「本来、株式会社は株主のもの」という米国のビジネス思想に根ざすものだが、日本ではその真の理解・浸透は難しかったのか、結果としてその「悪用」と受け取られかねない事態が生じた。本来「経営者」は株主の代理人で、その名を「借りて」いるのではなく、株主の立場になりきる必要がある。 更にライブドアを監査した監査法人がその粉飾決算を止められなかったことが、このショックを増幅した。2005年には、カネボウの長年にわたる粉飾決算に、監査法人の公認会計士が加担するという事件も起きている。今後この種の行為が起こらないよう緻密な新会計制度の設計も必要とされる。 一方、06年5月の新会社法施行に伴って可能となった定款変更により、機動的経営を目指す会社が増えている。その中でも目立つのは、インターネットや書面による取締役会決議を可能にする動きで、ヤフーNTTが取り入れようとしている。これにより、緊急なM&Aの発生ケース(例えば取締役全員が海外出張などで揃わない場合)などでも、機動的な対応が可能となる。一方で正しく運用をしないと会社のためにならない可能性もあるので、経営者の暴走に使われないよう限定条件もつけられているが、今後その有効利用が期待される。

(小山明宏 学習院大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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