核査察（読み）カクササツ

デジタル大辞泉

かく‐ささつ【核査察】

⇒保障措置

出典　小学館

百科事典マイペディア

核査察【かくささつ】

核物質や核関連施設などが軍事目的に利用されないように監視するために国際原子力機関（IAEA）が行う保障措置のひとつで，特定査察，通常査察，特別査察があり，核拡散防止条約加盟国がIAEAと個々に協定を結んで実施される。特定査察は対象となる核物質に関する協定国の報告を検証するもので，通常査察は核施設の活動に関する報告と実態についての検証である。この二つは協定国が申告した核物質・施設に対して行われるものであるが，特別査察は違反の疑いがある場合に実施され，未申告の施設も対象とする。イラクや朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の核疑惑を契機に1992年にIAEA理事会で特別査察の強化が合意され，1993年２月に北朝鮮に対して特別査察の要請が行われた。しかし北朝鮮はこれを拒否，３月には核拡散防止条約からの脱退を通告するなど国際問題となった。このように特別査察の実施にあたっては，制裁措置がないため，現実には実効性に欠けるという問題を抱えている。
→関連項目信頼醸成措置｜朝鮮半島非核化宣言

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

核査察
かくささつ
inspection by IAEA inspectors

濃縮ウランやプルトニウムなどの軍事利用を防ぐため，国際原子力機関 IAEAが実施する重要な検証活動。核兵器不拡散条約 NPT加盟国の非核保有国には，査察受け入れを含む保障措置協定 SA締結が義務づけられている。査察には，被査察国の報告の検認・核物質移転に関する特定査察，報告と記録の整合性の検討・測定点での測定を行なう通常査察，それ以外の情報・場所への特別査察の3種類がある。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典