改訂新版 世界大百科事典 「棄却域」の意味・わかりやすい解説
棄却域 (ききゃくいき)
critical region
統計的仮説を検定する場合に判断の基準となる領域を指す。例えば確率分布のパラメーターθを標本から知ろうとするとき,θがある領域に属するという仮説をおいて,その仮説のもとに標本から得られる統計量の分布を定め,実際に得られた数値と比較して,その仮説が正しくないという判断を下すか,または仮説が正しくないとはいえないと判断する。前者の場合仮説を棄却するといい(仮説は帰無仮説である),後者の場合は仮説の正当性を積極的に主張することはできないけれども仮設を採択するという。とくに平均値の差の検定などθがある特別な値に等しいという仮説をおく場合がよく用いられ,得られた統計量がある区間に属するとき仮説が採択されるならその補集合が棄却域である。判断の基準として,棄却域に属する確率αを0.05程度にとることが多く,αを有意水準と呼ぶ。
執筆者:飛田 武幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報