極性溶媒(読み)キョクセイヨウバイ(英語表記)polar solvent

化学辞典 第2版 「極性溶媒」の解説

極性溶媒
キョクセイヨウバイ
polar solvent

溶媒としての有極性分子液体.水,アルコール,液体アンモニアなど.誘電率無極性溶媒に比べてはるかに大きく,溶質の正負電荷間のクーロン引力は小さくなる.溶質との相互作用が強く,溶媒和エネルギーは大きいため,溶質は溶媒和しやすい.無極性溶質が無極性溶媒に溶けやすい傾向があるのに対し,極性溶媒は極性溶質(電解質,有極性分子)を溶かしやすい.溶質の吸収スペクトルは無極性溶媒では気相のそれに近いが,極性溶媒中では吸収極大の位置,そのほかに影響を与える.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極性溶媒」の意味・わかりやすい解説

極性溶媒
きょくせいようばい
polar solvent

誘電率の大きい液体が溶媒として働くとき,これを極性溶媒という。双極子モーメントの大きな分子から成る液体は一般に極性溶媒となる。極性溶媒は電気的極性をもつ化合物やイオン化合物をよく溶かす。その理由は,イオンの周囲に極性溶媒の分子が集合して溶媒和することにより,イオン状態としての溶解を安定化させるためである。誘電率の大きい液体ほどイオンを安定化させる効果が大きく,したがってイオン化合物の溶解度を大きくする。水は常温で誘電率が約 80という異常に大きな値を示し,イオン化合物をよく溶かす代表的な極性溶媒。

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改訂新版 世界大百科事典 「極性溶媒」の意味・わかりやすい解説

極性溶媒 (きょくせいようばい)

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世界大百科事典(旧版)内の極性溶媒の言及

【極性】より

…分子または化学結合において電荷分布に偏りがあるとき極性があるといい,それぞれ極性分子polar molecule,極性結合polar bondと呼ぶ。また極性分子からなる物質を極性化合物,液体を極性液体polar liquid,あるいは極性溶媒polar solventと呼び,極性のある置換基を極性基と称する。極性分子は双極子モーメントをもち,誘電率が比較的大きく,その液体は他の極性分子やイオン結合化合物をよく溶かす。…

【極性液体】より

…たとえば,水,エチルアルコールの⊿Svはそれぞれ109,110J/K・molである。極性液体が溶媒として用いられるときは極性溶媒polar solventとよばれる。極性化合物は極性溶媒に溶けやすい。…

※「極性溶媒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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