双極子モーメント(読み)ソウキョクシモーメント

デジタル大辞泉 「双極子モーメント」の意味・読み・例文・類語

そうきょくし‐モーメント〔サウキヨクシ‐〕【双極子モーメント】

双極子一方の極の電荷または磁荷の大きさと、両極間の距離との積の大きさをもつベクトル量。向きは、ふつう負から正への方向をとる。ダイポールモーメント

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化学辞典 第2版 「双極子モーメント」の解説

双極子モーメント
ソウキョクシモーメント
dipole moment

ある空間領域に分布した点電荷 ei の集まりが全体として電気的に中性,すなわち,

Q = Σiei = 0
である場合には,各点電荷の位置ベクトルri として,

μ = Σieiri
で定義されるベクトル量は,その電荷分布の基本的な物理量となり,電気双極子モーメントとよばれる.電荷密度ρ(r)で表される連続的な分布に対しては,

μ = ∫ρ(r)rdv (dvは体積素片)

で定義される.磁気の場合にも同様にして磁気双極子モーメントが定義される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「双極子モーメント」の意味・わかりやすい解説

双極子モーメント
そうきょくしモーメント
dipole moment

微小な距離だけ離れた大きさの等しい1対の正負の電荷や磁極をさす双極子の強さを表わす量。一般的には空間内の電荷密度を ρ(r) とすると積分 p=∫ ρ(r)r dv で定義される。分子の双極子モーメントは分子の電気的特性を示し,これから分子構造についての有益な情報が得られる。電気双極子についていえば,距離 l をへだてて1対の点電荷 +q ,-q をもった双極子のモーメント Pql で定義する。 l は -q から +q に向う位置ベクトルである。

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栄養・生化学辞典 「双極子モーメント」の解説

双極子モーメント

 一つの分子内に複数荷電の異なる部分があるとき,それらの距離のベクトルと荷電の積の和.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の双極子モーメントの言及

【核磁気モーメント】より

…原子核の磁気モーメント。ゼロと異なるスピンをもつ原子核はその状態によって決まる磁気(双極子)モーメントをもっている。これは原子核の構成要素である陽子と中性子がそれぞれ磁気モーメントをもち,また陽子の電荷が軌道運動をすることによって生ずる。その大きさは陽子の電荷をe,質量をmp,真空中の光速度をc,ħ=h/2π(hはプランク定数)として,eħ/2mpc=5.050824×10-24erg/ガウス(=5.050824×10-27J/T)で表される核磁子を単位に測られ,電子の場合のボーア磁子の1800分の1程度である。…

【双極子】より

…単に双極子といった場合には電気双極子を指すことが多い。二つの電荷を+q,-q,電荷間の間隔をdとするとき,積pqdを双極子モーメントという。-qから+qへ向く長さpのベクトルpもよく用いられ,これも双極子モーメントと呼ばれる。…

※「双極子モーメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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