分子内部に電気双極子をもっている液体。水やアルコールは極性液体の代表とされている。その特徴は,無極性の(電気双極子をもたない)分子からなる液体に比べて,一般にかなり大きな誘電率を有することにある。また,その蒸発熱と標準沸点との比(蒸発熱/標準沸点=蒸発のエントロピー)が,多数の無極性液体における場合のように,一定とはならないという性質がある。すなわち,一般に極性液体は,その分子が液体中で会合していることが多く,トルートンの通則(トルートンF.T.Troutonが1884年に発表),さらにそれをアメリカのヒルデブランドJ.H.Hildebrand(1915)が修正したヒルデブランドの規則には合わない。ヒルデブランドの規則とは,〈液体1molあたりの蒸発のエントロピー⊿Svは,非会合性液体が気化して同じ体積(1気圧)を占めるような温度において,ほぼ一定(84.2J/K・mol)となる〉という性質に関するものである。ところが極性液体の⊿Svについてはこの関係が成り立たない。たとえば,水,エチルアルコールの⊿Svはそれぞれ109,110J/K・molである。極性液体が溶媒として用いられるときは極性溶媒polar solventとよばれる。極性化合物は極性溶媒に溶けやすい。それは,極性溶媒中では,溶質-溶媒間の双極子どうしによる相互作用または水素結合形成などにより,溶液状態が安定化されるためである。極性液体には,水,メチルアルコール,エチルアルコール,1-プロピルアルコール,フェノール,エチレングリコール,クロロホルム,アセトン,アセトニトリル,ジメチルスルホキシドなどがある。
→極性
執筆者:橋谷 卓成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…分子または化学結合において電荷分布に偏りがあるとき極性があるといい,それぞれ極性分子polar molecule,極性結合polar bondと呼ぶ。また極性分子からなる物質を極性化合物,液体を極性液体polar liquid,あるいは極性溶媒polar solventと呼び,極性のある置換基を極性基と称する。極性分子は双極子モーメントをもち,誘電率が比較的大きく,その液体は他の極性分子やイオン結合化合物をよく溶かす。…
…分子または化学結合において電荷分布に偏りがあるとき極性があるといい,それぞれ極性分子polar molecule,極性結合polar bondと呼ぶ。また極性分子からなる物質を極性化合物,液体を極性液体polar liquid,あるいは極性溶媒polar solventと呼び,極性のある置換基を極性基と称する。極性分子は双極子モーメントをもち,誘電率が比較的大きく,その液体は他の極性分子やイオン結合化合物をよく溶かす。…
※「極性液体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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