横江庄(読み)よこえのしよう

日本歴史地名大系 「横江庄」の解説

横江庄
よこえのしよう

越前国加賀郡(のち加賀国石川郡)に所在した奈良東大寺領の初期庄園。南北朝期以降には京都天龍寺領横江庄が成立した。横江町を遺称地とし、同所およびその周辺を占めたと考えられており、手取川扇状地のほぼ扇央部にあたる。

〔東大寺領〕

弘仁九年(八一八)三月二七日の酒人内親王施入状(東南院文書)に庄名がみえ、酒人内親王(光仁皇女・桓武妃)が、娘の朝原内親王(平城妃)遺領である横江庄の墾田一八六町五段余を、美濃国厚見あつみ(現岐阜市)や越後国土井どい(現新潟県見附市)とともに、東大寺に施入している。その後、長徳四年(九九八)に作成されたものと推定される東大寺領諸国庄家田地目録案(同文書)によれば、厚見庄土井庄などとともに「別功徳分庄」として扱われているが、横江庄の田一八六町六段余に対し「已荒」と注記があり、東大寺による当庄の経営は一〇世紀末の段階で行詰りをみせていたらしい。これは仁平三年(一一五三)四月二九日の東大寺諸庄園文書目録(東大寺文書)において、多くの文書の存在を明記し、庄田の維持ないし回復のための工作を展開している土井庄などとは対照的である。なお当庄名にかかわると思われる人名として、「日本霊異記」に、越前国加賀郡大野おおの畝田うねだ(現金沢市)の住人横江臣成人がみえる。なお隣接する金沢市の上荒屋かみあらや遺跡からは天安元年(八五七)年紀をもつ文書様木簡をはじめとする大量の木簡のほか、「東庄」「西庄」「南庄」「北庄」と記された九世紀中葉と推定される墨書土器などが出土。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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