天龍寺(読み)てんりゅうじ

精選版 日本国語大辞典 「天龍寺」の意味・読み・例文・類語

てんりゅう‐じ【天龍寺】

  1. 京都五山の第一位。京都市右京区嵯峨天龍寺芒(すすき)ノ馬場町にある臨済宗天龍寺派の大本山。山号は霊亀山。暦応二年(一三三九足利尊氏・直義が後醍醐天皇の冥福を祈るため仙洞御所亀山殿の跡に建立。開山は夢窓国師。はじめ暦応寺と称したが、同四年現在名に改められた。夢窓国師作の庭園は国史跡特別名勝

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日本歴史地名大系 「天龍寺」の解説

天龍寺
てんりゆうじ

[現在地名]右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町

嵯峨野さがのの南西、大堰おおい(桂川)の北に位置する。臨済宗天龍寺派大本山。霊亀山天龍資聖禅寺といい、本尊釈迦如来、脇士普賢・文殊の両菩薩。当寺は平成六年(一九九四)世界の文化遺産(古都京都の文化財)に登録された。

〈京都・山城寺院神社大事典〉

〔創建の経緯〕

寺地は嵯峨天皇の皇后橘嘉智子が承和年間(八三四―八四八)に営んだ檀林だんりん寺の跡地で、その後後嵯峨法皇が亀山かめやま殿を造営した。亀山殿は亀山天皇から孫の後醍醐天皇へ伝領されたが、後醍醐天皇は暦応二年(一三三九)八月大和吉野で死去した。天龍寺は足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うため、その頃すでに荒廃していた亀山殿の地に勅願寺として建立した。すなわち春屋妙葩筆「天龍寺造営記」は次のように記す。

<資料は省略されています>

新寺造立を足利尊氏・直義に説いたのは夢窓疎石と思われる(太平記)。夢窓は後醍醐天皇の勅命で元弘三年(一三三三)京都南禅寺に再住、建武二年(一三三五)一〇月には勅旨により臨川りんせん(現右京区)開山とされ、国師号も付与されており、哀悼の思いも深いものがあった。当時夢窓は尊氏からも崇敬され、元弘以来の大乱の戦死者を弔い、天下太平を祈るため全国に安国寺・利生塔設立を進言しており、新寺建立もその延長として説いた。しかしこれらは同時に初期室町幕府の政治的にも重要な宗教施策であった。暦応二年一〇月には光厳上皇の院宣(天龍寺重書目録)が下された。

<資料は省略されています>

同月一三日には早くも「暦応資聖禅寺」と年号を冠した寺号が決まり、夢窓宛の院宣が発せられている。しかしこれは旧仏教側の反発もあり、同四年七月霊亀山天龍資聖禅寺と改められた(直義の瑞夢、金龍・銀龍の話が付与されて天龍の由来とされた)

〔造営事業〕

「造営記」によると、暦応三年四月二一日仏殿・僧堂・庫裏・法堂・山門の木作始め、同四年七月一三日曳地が行われ、尊氏・直義以下有力武将・幕府奉行人等多数が推参した。康永元年(一三四二)三月二七日礎始、同七月二八日木引、同八月三日立柱、同一一月二二日本尊釈迦三尊像御衣木加持、同一二月二日上棟、同一二月二三日鎌倉円覚寺に準じ五山第二位に座位が定められた。そして翌二年中に仏殿・山門・法堂・寮舎・廊などが完成した。同三年一月後醍醐天皇の霊庇廟が造られ(天龍紀年考略)、天龍寺は約五年でほぼその全容がなった。「太平記」巻二四は「仏殿・法堂・庫裏・僧堂・山門・門・鐘楼・方丈・浴室・輪蔵・雲居庵・七十余ノ宇寮舎・八十四門ノ廊下マデ、不日ノ経営事成テ、奇麗ノ粧交ヘタリ」と述べる。


天龍寺
てんりゆうじ

[現在地名]新宿区新宿四丁目

護本山と号し、曹洞宗。本尊は千手観音。江戸時代の境内拝領地は二千二〇九坪余。もとは遠江国倉見くらみ(倉真)西郷さいごう(現静岡県掛川市)滝ノ谷たきのやにあって法泉ほうせん寺と号した。徳川家康の側室で二代将軍徳川秀忠の生母となった西郷局(天正一七年没。竜泉院、のち宝台院と改号)の兄心翁永伝(当寺中興)法泉寺住持であった縁で、家康の江戸入りに際し牛込に三万六千坪の寺地を与えられ、寺名を天龍寺と改めて移転した。牛込時代から江戸城の裏鬼門鎮護の寺として知られたが、天和三年(一六八三)に類焼し当地へ移転した(寺社書上など)

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デジタル大辞泉プラス 「天龍寺」の解説

天龍寺

京都府京都市右京区にある寺院。臨済宗天龍寺派大本山。1339年、後醍醐天皇の菩提を弔うため創建。京都五山のひとつ。曹源池庭園は国指定史跡・特別名勝の第1号。「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録。

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事典・日本の観光資源 「天龍寺」の解説

天龍寺

(京都府京都市右京区)
京都五山」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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