精選版 日本国語大辞典 「歌・唄」の意味・読み・例文・類語
うた【歌・唄】
〘名〙
※書紀(720)神武即位前「御謡(ウタよみ)して曰く、〈謡、此をば宇多(ウタ)預瀰と云ふ〉」
② リズムを主として作られた一種の文章の総称。古代からの短歌、長歌、旋頭歌(せどうか)、歌謡などや近代の詩をも含める。
※万葉(8C後)一・一六・題詞「額田王以レ歌判之歌」
③ 特に和歌をさしていう。五、七、五、七、七の三一音から成る短歌形式をいう。やまとうた。
※土左(935頃)承平五年二月五日「『御船(みふね)よりおふせたぶなり。朝北(あさきた)の出で来ぬさきに、綱手はやひけ』と言ふ。このことばのうたのやうなるは」
④ 謡曲における曲節の名称。拍子に合わせて吟詠するところで、その音程を下げてうたい出すのを下歌(さげうた)、上げてうたい出すのを上歌(あげうた)という。歌地(うたじ)。
※五音(1434頃)下「歌 花洛の塵にまじはり、まじはり」
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六「『きっと云付たぞ』ト哥に成」
⑦ 義太夫浄瑠璃の中にはさまれた一句、あるいはひとくだりの曲節。地唄や琴歌(ことうた)をはじめ、俗謡、流行歌をとり入れたくだり、またはそれらに似せて作曲した部分で、これによって曲節に柔らかなふくらみを生じ、曲調を変化させる効果がある。
※浄瑠璃・源平布引滝(1749)一「哥 鏡とぎ鏡とぎ鏡とぎ、といでやりたい世の噂」
⑧ 笛の吹き口より指穴までの部分の名称。うたぐち。
※歌儛品目(1818‐22頃)四「笛〈略〉懐竹抄笛の図に、吹口より六の孔までの間に歌とあり、今も俗に口を歌口と称す」
⑨ 鳥のさえずりをいう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報