家庭医学館 「正しいせきのしかた」の解説
ただしいせきのしかた【正しいせきのしかた】
肺は、外界から有害な菌や異物が入ってこないように、さまざまなしくみで守られています。せきはその1つで、気道に入ってきた菌や食べかすなどの異物を体外に排除しようとする反射運動です。
このたいせつな反射運動は、高齢になればなるほどおこりにくく、また脳の障害(脳卒中(のうそっちゅう)など)、意識の障害があると、とてもおこりにくくなります。
健康な人の口の中にも、ふつうは無害な多くの細菌がいますが、お年寄りになると口の中をきれいにしておくということ(口腔(こうくう)ケア)に対する関心がうすくなり、加えて、重い病気があると栄養状態が悪くなったり、抗生物質が使用されたりして、口の中の無害な菌と有害な菌のバランスがくずれ、有害な菌が増えたりすることがあります。
また、歯周病(ししゅうびょう)(歯槽膿漏(しそうのうろう))なども口の中の有害な菌を増やす原因となります。
口腔ケアがうまくなされていないと、お年寄りは、せきで十分に菌の排除ができないことが多く、肺炎がおこりやすくなります。
また、せきをせき止め薬などによって止めると、菌や異物を肺にためることになり、肺炎がおこりやすくなります。
深い効果的なせきをするには、息を十分に吸い込んで、気道の中に入り込んだ物を外へ出すようにすることがたいせつです。
また、たんがからむと、せきの効果がうまくでませんから、水分を十分にとり、空気が乾燥する冬などは、加湿器によって部屋の湿度を50%以上に保ち、たんのねばりを少なくして、きれをよくしておくことがたいせつです。