歌学(読み)かがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

歌学
かがく

和歌に関する学問和歌の本質,歴史,分類,作法,解釈,評論,書誌,歌人伝など,和歌の制作および享受に関するすべてを対象とする。このうち特に和歌に関する評論を,歌論と呼ぶ。歌論は和歌の本質論や和歌史的記述を含む場合が多い。歌学,歌論の萌芽は『万葉集』にすでに見出されるが,歌学書としてまとまったものは,宝亀3 (772) 年の藤原浜成著『歌経標式』が最初である。以後,詩学,詩論の影響下,歌合の盛行とともに,「和歌式」「髄脳 (ずいのう) 」「十体」などと呼ばれる歌学書が数多く生れた。また,勅撰和歌集の序文や歌合の判詞は,歌論的性格が強い。しかし,時代が下るにつれ,歌学は形式的,因襲的になり,歌論のみがそれぞれの時代の文学意識を反映し,みるべきものを生んだ。

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百科事典マイペディアの解説

歌学【かがく】

和歌に関する知識や理論の研究のこと。和歌についての故実,歌語の研究や,古歌の訓詁注釈のほか,歌論なども含まれる。学問的な考証・注釈から文芸的な和歌批評,あるいは和歌をめぐる秘説や伝承の類まで,その範囲は和歌の創作活動と結びついて発達した。1603年刊《日葡辞書》には〈歌の学び,すなわち歌を習う〉とある。歌学が本格化した平安時代以来,歌学の担い手とは同時に歌人でもあった。つまり,和歌の作り方を学ぶ学というのが〈歌学〉の本来的な意味であろう。平安末期,六条家の藤原清輔顕昭が歌学書を著し一家の歌学を形成する。中世には藤原定家の子孫が二条家京極家冷泉家の三家に分かれ,それぞれの歌学を擁して歌の家として存続,やがて近世の堂上歌学に引き継がれた。
→関連項目奥義抄係り結び荷田春満国語学袖中抄俊頼髄脳戸田茂睡袋草紙

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大辞林 第三版の解説

かがく【歌学】

和歌に関する学問。和歌の意義・本質・作歌の作法・故実・和歌の歴史などを研究する学問。また、その知識。

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精選版 日本国語大辞典の解説

か‐がく【歌学】

〘名〙 和歌についての知識や理論を整理し研究する学問。和歌の意義、本質、起源、美的理念などの研究や詠作の作法の整理、また訓詁(くんこ)、注釈や秘訣の解明、さらに歌集の校訂や編纂などを行なう。その萌芽は奈良時代にすでに見られるが、平安中期頃から本格化した。→歌論(かろん)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
浮世草子・武家義理物語(1688)六「彼浪人すこし哥学(カガク)有て」

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世界大百科事典内の歌学の言及

【歌論】より

…和歌に関する理論および理論書のこと。〈歌学〉〈歌学書〉が訓詁注釈をはじめとして学問的傾向の強いものを指すのに対し,文芸的傾向,評論的色彩の強いものを〈歌論〉と呼んでいる。本質論,形式論,様式論,和歌史論,伝統論,文体論,韻律論,用語論,作歌論,批評論まで,内容的にきわめて幅広く,時代的広がりにおいても,《万葉集》の時代から現代まで広い時代に〈歌論〉は書き継がれてきている。…

※「歌学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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