歌学(読み)カガク

デジタル大辞泉 「歌学」の意味・読み・例文・類語

か‐がく【歌学】

和歌に関する学問。和歌の本質変遷美的理念、作歌上のしきたりなどを研究し、訓詁くんこ・注解、歌集校訂なども行う。平安中期以後に本格化した。

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精選版 日本国語大辞典 「歌学」の意味・読み・例文・類語

か‐がく【歌学】

  1. 〘 名詞 〙 和歌についての知識や理論を整理し研究する学問。和歌の意義、本質、起源、美的理念などの研究や詠作の作法の整理、また訓詁(くんこ)注釈や秘訣の解明、さらに歌集の校訂や編纂などを行なう。その萌芽は奈良時代にすでに見られるが、平安中期頃から本格化した。→歌論(かろん)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「彼浪人すこし哥学(カガク)有て」(出典:浮世草子武家義理物語(1688)六)

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百科事典マイペディア 「歌学」の意味・わかりやすい解説

歌学【かがく】

和歌に関する知識や理論の研究のこと。和歌についての故実,歌語の研究や,古歌の訓詁注釈のほか,歌論なども含まれる。学問的な考証・注釈から文芸的な和歌批評,あるいは和歌をめぐる秘説や伝承の類まで,その範囲は和歌の創作活動と結びついて発達した。1603年刊《日葡辞書》には〈歌の学び,すなわち歌を習う〉とある。歌学が本格化した平安時代以来,歌学の担い手とは同時に歌人でもあった。つまり,和歌の作り方を学ぶ学というのが〈歌学〉の本来的な意味であろう。平安末期,六条家の藤原清輔顕昭が歌学書を著し一家の歌学を形成する。中世には藤原定家子孫二条家京極家冷泉家の三家に分かれ,それぞれの歌学を擁して歌の家として存続,やがて近世の堂上歌学に引き継がれた。
→関連項目奥義抄係り結び荷田春満国語学袖中抄俊頼髄脳戸田茂睡袋草紙

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歌学」の意味・わかりやすい解説

歌学
かがく

和歌に関する学問。和歌の本質,歴史,分類,作法,解釈評論,書誌,歌人伝など,和歌の制作および享受に関するすべてを対象とする。このうち特に和歌に関する評論を,歌論と呼ぶ。歌論は和歌の本質論や和歌史的記述を含む場合が多い。歌学,歌論の萌芽は『万葉集』にすでに見出されるが,歌学書としてまとまったものは,宝亀3 (772) 年の藤原浜成著『歌経標式』が最初である。以後,詩学,詩論の影響下,歌合の盛行とともに,「和歌式」「髄脳 (ずいのう) 」「十体」などと呼ばれる歌学書が数多く生れた。また,勅撰和歌集の序文や歌合の判詞は,歌論的性格が強い。しかし,時代が下るにつれ,歌学は形式的,因襲的になり,歌論のみがそれぞれの時代の文学意識を反映し,みるべきものを生んだ。

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旺文社日本史事典 三訂版 「歌学」の解説

歌学
かがく

和歌の形態や本質・作法・心得など,和歌に関する全方面を研究する学問
ふつう和歌の本質論は歌論といい,それ以外の和歌の諸知識を求める学問を歌学と呼んで区別する。鎌倉末期,藤原定家の子孫の二条・京極・冷泉 (れいぜい) の3家が歌学の家としての地位を築く。その後形式化・固定化して古今伝授などとなるが,江戸中期,こうした中世以来の歌学に対する批判がおこり,これが国学の源流となったことは注目を要する。代表的歌学書として『歌経標式』『古今和歌集』〈序〉,『古来風体抄』など。

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改訂新版 世界大百科事典 「歌学」の意味・わかりやすい解説

歌学 (かがく)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌学」の意味・わかりやすい解説

歌学
かがく

歌論

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世界大百科事典(旧版)内の歌学の言及

【歌論】より

…和歌に関する理論および理論書のこと。〈歌学〉〈歌学書〉が訓詁注釈をはじめとして学問的傾向の強いものを指すのに対し,文芸的傾向,評論的色彩の強いものを〈歌論〉と呼んでいる。本質論,形式論,様式論,和歌史論,伝統論,文体論,韻律論,用語論,作歌論,批評論まで,内容的にきわめて幅広く,時代的広がりにおいても,《万葉集》の時代から現代まで広い時代に〈歌論〉は書き継がれてきている。…

※「歌学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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