改訂新版 世界大百科事典 「武夷山脈」の意味・わかりやすい解説
武夷山脈 (ぶいさんみゃく)
Wǔ yí shān mài
中国の江西省と福建省の省境を北東から南西に走る山脈で,北は仙霞嶺に,南は九連山につながる。贛江(かんこう)と閩江(びんこう)の分水嶺で,標高は1000m前後。武夷君という神仙がいたというのでこの名がある。主峰の黄崗山は標高2158mで,福建省崇安県の北西にある。崇安県の南西にある武夷山(約600m)は福建省第一の名山として知られる。周囲は渓谷でかこまれ,その景観は〈渓曲三三水〉(つまり九曲渓),〈山環六六峰〉(つまり三六峰)と称される。名勝の地,武夷山は古跡も多く,宋代の朱熹(しゆき)(子)の講学した紫陽書院(武夷精舎)の旧址等を残す。杉関,鉄牛関,分水関など峠があるものの,山脈は古くより福建・江西間の交通の障害であった。杉,松,クスなど用材に富み,漆,松脂の産出も多い。また名茶の産地でもあり,武夷岩茶,ウーロン茶は最高級品として有名である。
執筆者:林 和生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報