武装と武具(読み)ぶそうとぶぐ[こだいローマ]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武装と武具」の意味・わかりやすい解説

武装と武具[古代ローマ]
ぶそうとぶぐ[こだいローマ]

共和政初期にはギリシアにならって歩兵は槍が主武器であった。防具は人により異なり,富裕市民は,胸甲,軽い丸楯,すね当て,革 (または青銅) の兜を用いた。前2世紀までには投槍が主武器で,白兵戦にはスペイン起源の両刃の剣を用い,楯もサムニウム人のもつ長方形の楯になった。これらは帝政期にも使われた。また下層市民は軽装兵として革シャツの上に青銅の鎧をつけ,小さい丸楯,軽い槍,剣を持ち,すね当てはつけなかった。騎兵は兜,丸楯,投槍を用い,剣は持たなかった。前1世紀には投槍が鋭利にされ,長楯とともに広く用いられ,すね当ては使われなくなった。帝政期には行進用の装飾,制服がつくられ,鉄の鎧が現れた。補助軍 (アウクシリア) は地方特有の装備をしていたが,槍,長剣が使われるようになった。また弓手,投石手など特殊な部隊もふえていった。帝政後期には槍と長剣が広く用いられ,武器の種類による専門化も進んだ。 (→軍制)  

武装と武具[古代ギリシア]
ぶそうとぶぐ[こだいギリシア]

ミケーネ時代には牛の背皮でつくった首から吊るす楯と兜のみをつけ,主要な武器として長い細身の剣を用いたらしい。青銅器時代末期にかけて小型の丸い楯が使用されるようになり,それとともに胸甲,すね当てが加わった。剣も突くだけではなく切るためにも使われる短いものに変化した。そののち軽装から重装への変化がみられ,アルカイック期,古典期の代表的兵士重装歩兵 (ホプリタイ) であった。青銅の楯を腕につけ,兜,胸甲,すね当てで身を固め,おもな武器は鉄製突槍,剣であった。剣はおもに接近戦用の短いもの。投槍は軽装兵のみが使用した。前4世紀には,動作に融通のきく装備が発達し,小型の丸楯以外の防具を身につけず,軽い投槍を主要な武器とするタイプ (ペルタスタイ) が一時主となるが,まもなく非常に長い槍と小さな楯のマケドニア型が主流となった。 (→軍制)  

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