おこじょ(読み)オコジョ(英語表記)stoat

翻訳|stoat

デジタル大辞泉 「おこじょ」の意味・読み・例文・類語

おこじょ

イタチ科の哺乳類体長18~29センチ、尾長6~12センチ。夏毛は背面が褐色、腹面は白色で、冬には尾端以外が白く変わる。ネズミウサギを捕食。ユーラシア北部・北アメリカに分布し、日本では北海道・本州の山地にみられる。毛皮はヨーロッパではアーミンと呼ばれ、高級品。えぞいたち。やまいたち
[類語]いたちフェレットてんミンク穴熊スカンク

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精選版 日本国語大辞典 「おこじょ」の意味・読み・例文・類語

おこじょ

  1. 〘 名詞 〙 イタチ科の哺乳類。体長一七~二五センチメートル、尾長四~六センチメートル。尾はイタチよりも短く、尾端が黒い。夏毛は上面が褐色で下面が白色。冬毛は尾端の黒色を残し白色に変わる。樹洞や岩地にすみ、夜間活動して、ネズミ、ウサギ、鳥類を捕食。毛皮はアーミンと呼ばれ珍重される。北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部に分布し、亜種が多い。日本には北海道に分布するエゾオコジョ、本州中部以北の山地に分布するホンドオコジョの二亜種がいる。やまいたち。えぞいたち。くだぎつね。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「おこじょ」の意味・わかりやすい解説

オコジョ
おこじょ
stoat
ermine
[学] Mustela erminea

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。ほぼ北緯45度以北のユーラシア、アメリカ大陸の全域に分布するほか、グリーンランド東部にも生息する。日本では北海道と青森県のほか、東北、関東、中部地方の高山にいる。ヤマイタチともよばれ、また北海道ではエゾイタチといわれる。体長24~29センチメートル、尾長8~12センチメートル。体色は夏毛と冬毛で違い、夏は背がチョコレート色、のどから腹は白、冬は全体が白になる。ただし尾の先端のみ四季を通じて黒い。イイズナに似ているが、やや大きく、尾が長く、先端が黒いことが違う。この体色変化は気温に関係があり、温暖な地方では白化せず、極地では通年白い個体がいる。分布範囲内では森林、草原、人家の近くなど、さまざまな環境におり、コケや草を敷き詰めた巣をつくるが、かならずしも穴や岩のすきまにだけでなく、露出していることもある。日中でも活動するが、おもに夜行性。主食はネズミ、ハムスター、レミングなどであるが、小鳥やウサギ、カエルも食べる。単独生活者で約30ヘクタールの縄張り(テリトリー)があり、その中の木の根や石に肛門腺(こうもんせん)からの分泌物を塗り付ける習性がある。交尾は暖かい間に行われるが、冬まで受精卵は発育せず(着床遅延)、出産は3~5月で、3~13子を産む。出産巣は穴の中につくられ、子は6週まで閉眼で、母親に育てられる。その後の成育は早く、とくに雌は4か月で交尾可能となる。ネズミを襲うとき、体をくねらせてダンスをして催眠術をかけるといわれるが、自身もショックに弱く、大きな音だけで死んでしまうこともあるほどで、飼育はむずかしい。

[朝日 稔]

利用

オコジョの冬毛は純白に近く、ヨーロッパではアーミンとよばれ、そのコートは祭礼のときの貴族のシンボルとして欠くことのできないものであった。とくにシベリア産は上質で、ロシア帝国の財政を支えたといわれる。夏毛はストートとよばれ価値が低い。またネズミやウサギの天敵となるため、古代ヨーロッパでもたいせつにされていたが、19世紀にニュージーランドなどに移入され、害獣の駆除と毛皮輸出に役だっている。日本では狩猟獣に指定されておらず、捕獲禁止である。

[朝日 稔]

民俗

オコジョは、姿や挙動から神秘的な動物とされる。長野県や群馬県では山の神の使者と伝えられ、ヤマノカミノエンコロとかヤマノカミノコロ(山の神の犬の意)などともよばれている。猟師は、オコジョに会うとその日は1日猟がないといって嫌がる。猟犬がオコジョの鳴き声を聞くとそれを追い回し、使いものにならないからだという。とらえたり追ったりすると祟(たた)りがあるといわれる。オコジョは人に憑(つ)いて精神異常をおこすともいう。夫が殺したオコジョが妻に憑いたという話もある。特定の家筋で飼育する小動物が人に憑くという、クダ(中部地方など)あるいはオサキ関東地方)と称する憑き物の正体も、だいたいはオコジョである。

[小島瓔

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「おこじょ」の意味・わかりやすい解説

オコジョ
Mustela erminea; stoat

食肉目イタチ科。エゾイタチ,ヤマイタチともいう。体長 13~29cm,尾長5~12cm。夏毛は灰褐色で,喉,胸,腹部は淡色であるが,冬毛は全身純白で,尾の先端が黒い。樹洞,小穴,岩のすき間などにすみ,ノネズミ,ノウサギ,鳥類などを捕食する。木登りも泳ぎもうまい。昼間活動し,ほとんど人を恐れず,亜高山帯や高山帯にしばしば姿をみせる。ユーラシア大陸,北アメリカと,日本では北海道,本州中部以北に分布する。

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