毟る(読み)ムシル

デジタル大辞泉 「毟る」の意味・読み・例文・類語

むし・る【×毟る/×挘る】

[動ラ五(四)]
つかんだりつまんだりして引き抜く。「草を―・る」「羽を―・る」「毛を―・る」
肉や魚などの身をほぐす。「あぶった干鱈ひだらを―・って食べる」
おどして、財産などをすべて奪いとる。「金を―・られる」
綿などをちぎってふっくらとさせる。
「絹、綿…皆賜はりて、ひきちらして―・りなどす」〈宇津保・国譲下〉
[補説]「毟」「挘」は国字
[可能]むしれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「毟る」の意味・読み・例文・類語

むし・る【毟・&JISEAEB;】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 物の本体に密着しているものを、むりやりに引きちぎったり、引き抜いたりする。
      1. [初出の実例]「田上に侍りし比、かたひなたに居て、手のかさむしりてよめる」(出典:散木奇歌集(1128頃)雑上)
      2. 「この雉子〈略〉生けながら毛をむしらせければ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)四)
    2. 綿などをつまみ広げて、ふっくらとさせる。つばなかす。
      1. [初出の実例]「きぬ・綿を見れば、いとおほかり。〈略〉ごたちも、皆賜はりて引き散らしてむしりなどす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    3. 身を引きちぎって細かくする。また、肉や魚の身を骨からはがしてほぐす。
      1. [初出の実例]「干かれい〈略〉むしりてとは、焼て則身計むしりて用る事也」(出典:古今料理集(1670‐74頃)五)
    4. むりやりに奪い取る。
      1. [初出の実例]「巡査(おまはり)さんにつかまって屯所(たむろじょ)へ留られておいらを呼びによこしやっがった時は苦しい銭をむしりやアがったぜ」(出典西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈総生寛〉一五)
    5. ( 多く「口をむしる」の形で用いて ) かまをかけて尋ねる。→口をむしる
      1. [初出の実例]「船中を見わたせば、色々の人物、よきはなしもと、そぞろよろこび、出ふねからそろそろと、人々の口をむしりかけ」(出典:談義本・教訓乗合船(1771)一)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙むしれる(毟)

毟るの補助注記

[ 一 ]は近世以後、「つばな」の形状にする意の「つばなかす」によって表わすことが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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