日本大百科全書(ニッポニカ) 「水豊湖」の意味・わかりやすい解説
水豊湖
すいほうこ / スープンホ
朝鮮第一の川鴨緑江(おうりょくこう)の下流をせき止めてできた人造湖。河口から約130キロメートル上流にある。面積345平方キロメートル、全貯水量116億立方メートル。水豊ダムは1937年着工し、44年完成した。貯水面はダムの堰堤(えんてい)より上流164キロメートルに及び、中国側は渾江(こんこう/フンチヤン)34キロメートルの上流に達している。ダムの建設は、1937年野口コンツェルン(日窒(にっちつ)コンツェルン)系の朝鮮・満州の両鴨緑江水力発電会社の合同出資によって着工、8か年の歳月と延べ人員2000万人が動員されて完成した。ダムの高さ106.4メートル、幅30メートル、延長900.7メートルの堰堤によって朝中両国を結び付けた。ダムに打ち込まれたコンクリートは330万立方メートル、当時の金額で2億4000万円を投じたといわれる。湖水面積は日本の霞ヶ浦(かすみがうら)の約2倍で、当時はアメリカのフーバー・ダムに次いで世界第2位のダムであった。朝鮮戦争中、爆撃され発電施設が被害を受けたが、復旧拡充されて現在の最大出力は70万キロワットである。
[魚 塘]