江差湊(読み)えさしみなと

日本歴史地名大系 「江差湊」の解説

江差湊
えさしみなと

江差市中の中央にある津花つばな町・姥神うばがみ町の西側海上に浮ぶかもめ島周辺を船懸りとした湊。近世松前藩領において箱館湊・松前湊(福山湊)と合せ松前三湊と称された(「東遊記」など)。鴎島周辺の海底から珠洲焼と思われる擂鉢が見つかったことや、正保日本図中に鴎島とみられる地に「舟着」と記されていることなどから、近世以前からすでに船懸りとしての機能を有していたと推定されている。江差湊は一七世紀後半から鯡漁場や檜山木材の積出湊として発展していった。松前藩の経営基盤は交易で成立っていたため、その統制方法として本州と蝦夷地を交易する船の寄港を松前湊・箱館湊・江差湊の三湊に限定し、三湊の沖之口役所で改めを受けて役銭を徴収する沖之口制度を採っていた。江差湊の沖之口役所は津花町に置かれていたが、業務を実際に取扱ったのは藩から特権商人としての問屋株を認められた江差商人であった。江差では元禄―享保期(一六八八―一七三六)頃に問屋株仲間が成立したとみられている(江差町史)。天明三年(一七八三)に江差を訪れた平秩東作は「東遊記」に、江差湊口の便の良さは三湊のうちで箱館に次ぎ二番目で、「弁天島浜にちかく船がゝりよしといへども、西風にはかゝり船損することあり」と、弁天島(鴎島)に船懸りをし、西風に弱かったとしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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