池田甚兵衛(読み)いけだじんべえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「池田甚兵衛」の意味・わかりやすい解説

池田甚兵衛
いけだじんべえ

18世紀後半の薩摩琵琶名手大隅国の住人。号竜翁。江戸中期の医者で琴をたしなみ天明2(1782)年から同 6年東西を旅した橘南谿の紀行文『西遊記』(1795~98)に,大隅で池田甚兵衛を訪ね,その琵琶を聴いて感動したとある。また薩摩藩主島津重豪に対する幕府からの尋問書に「当時第一の名人なるよし」と記されていた。もと士族であったので,士風琵琶を学び,のち町人となり町風琵琶も修め,両者を融合した琵琶楽を樹立して,今日の薩摩琵琶の直接の祖となった。門下に優雅な曲調を得意とした士族出身徳田善兵衛と,豪快な味わいの盲人妙寿が出て,さらにその門より俊秀が輩出し,東京に進出して明治の琵琶楽界の一大勢力をなすにいたった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「池田甚兵衛」の解説

池田甚兵衛 いけだ-じんべえ

?-? 江戸時代中期-後期の琵琶(びわ)演奏家。
もと武士。士風琵琶と町風琵琶を習得し,今日の薩摩(さつま)琵琶の芸風を確立した。橘南谿(たちばな-なんけい)が「西遊記」に,天明2年(1782)にその演奏をきいたときの感動をしるしている。門下に妙寿,徳田善兵衛(ぜんびょうえ)。大隅(鹿児島県)出身。号は竜翁。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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