沢宿(読み)ばらざわしゆく

日本歴史地名大系 「沢宿」の解説

沢宿
ばらざわしゆく

[現在地名]西町

駿信往還の宿駅で、鰍沢かじかざわ宿(現鰍沢町)韮崎宿中間にある。宿の機能をいつ頃からもち始めたかは不明だが、同じ往還上の青柳あおやぎ(現増穂町)に新宿が立てられたのが天正八年(一五八〇)のことなので(同年九月一八日「武田勝頼印判状写」甲斐国古文書)、その前後かもしれない。江戸時代の宿指定の時期も不明だが、延宝三年(一六七五)に村が提出した訴願書(市川文蔵家文書)に「前々より御伝馬役相勤、申付諸役引来り 申候、御証文数通御座候所ニ五拾九年以前巳之年問屋久左衛門類火ニ逢、諸事之御証文炎焼仕候」とあるので、元和三年(一六一七)以前、おそらく五街道の宿駅整備が行われた時期からそう下らない頃であろう。この訴願書はさらに寛永一〇年(一六三三)沢村が新庄与惣右衛門の知行地となり、それまで諸役免許であったにもかかわらず高役・川除普請を課せられたこと、寛文元年(一六六一)甲府家領となった際、「御領分御伝馬宿なミ」を願出たが沙汰はなく、以後も人足四人・馬五疋を用意して御用を勤めてきたと述べ、しかし近年「百姓草臥申ニ付人馬退転之体」になって御用を十分に勤められなくなったので、かつてのように「御役引並御拝借金」を行ってほしいと訴えている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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