願書(読み)ガンショ

デジタル大辞泉 「願書」の意味・読み・例文・類語

がん‐しょ〔グワン‐〕【願書】

許可を得るために差し出す書類。ねがいしょ。「入学願書
神仏に対する願いを記した文書願文がんもん
[類語]届け届け出申し出申し入れ申告

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「願書」の意味・読み・例文・類語

がん‐しょグヮン‥【願書】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 古くは「がんじょ」か ) 神仏への祈願趣旨を記した文書。願文(がんもん)
    1. [初出の実例]「この君のわざをするぐんしょに、おやの心かはりたるにより、一人あるをのこ、いたづらになしたることをおもしろうつくれり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
    2. 「高氏被願書(グヮンジョ)於篠村八幡宮事」(出典:太平記(14C後)九)
  3. 許可を得るために差し出す書類。特に入学願書の意味に用いることが多い。
    1. [初出の実例]「今度出るには藩に願書(グヮンショ)を出さなければならぬ」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉大阪修業)

ねがい‐しょねがひ‥【願書】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神仏への祈願の趣旨を書いた文書。ねがいぶみ。がんしょ。
  3. 許可を得るために差し出す書類。ねがいぶみ。がんしょ。
    1. [初出の実例]「願書(ネガヒショ)と云ふものを書いてお奉行様に出すのである」(出典:最後一句(1915)〈森鴎外〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「願書」の意味・わかりやすい解説

願書 (がんしょ)

(1)平曲の曲名。《木曾願書》とも称する。伝授物。読物(よみもの)13曲の一つ。木曾義仲が挙兵して越中砺波山(となみやま)まで来て埴生(はにゆう)に陣を取ったとき,林の間に見える社が八幡宮と知り,連れていた大夫房覚明に命じて願書を書かせた。覚明は儒家の出身で,〈帰命頂礼八幡大菩薩は日域の本主……〉と見事な文章の願書をしたためた。これを八幡宮に納めたところ,山鳩3羽が義仲軍の白旗の上を飛び回ったので,義仲は冑を脱いで礼拝した。読物は普通の曲にない特殊な曲節に作曲されているが,現在は伝承が絶えている。(2)能《木曾》の部分の名。上記の平曲と同じ筋のこの能の中で,シテの覚明が書きしたためた願書を読み上げる部分。読物という特殊な形式の曲節で,この部分を独立させて独吟として謡ったり,小鼓または大鼓1人と謡1人が共演する一調という形式で演じたりする。(3)能《木曾》の小書(こがき)(変形演出の名)。この小書を番組に記さないときは,願書を書いたという筋だけでその内容は読み上げない。それを普通の演出と定めているが,実際はかならずこの小書で演ずる。
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世界大百科事典(旧版)内の願書の言及

【願文】より

…神仏に祈願の意を伝えるための文書。発願文,願書ともいい,〈がんぶみ〉とも読む。造寺・造塔・造仏・写経・埋経や仏事などに際して,その発願の趣意をのべ,現世・後世の安楽を願ったり,病気の平癒や武運長久,子孫繁栄を祈願したものが多い。…

【読物】より

…書状その他の長い文書を読み上げる部分を重点とした曲。木曾義仲の命で大夫房覚明が八幡社へ願書を捧げる《願書》(《木曾願書》とも),文覚(もんがく)が神護寺復興の寄進勧誘状を読み上げる《勧進帳》,源義経が鎌倉入りを拒まれて釈明文を書く《腰越(こしごえ)》など13曲ある。読物は,〈チラシ〉〈下音〉〈上音〉〈ハコビ〉など,一般の平曲とは著しく異なる曲節の小段を含む伝授物だが,伝承が絶えたためにその詳細はわからない。…

※「願書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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