沼尻温泉(読み)ぬまじりおんせん

日本歴史地名大系 「沼尻温泉」の解説

沼尻温泉
ぬまじりおんせん

[現在地名]猪苗代町蚕養

安達太良山西麓小塚こづか川の北岸に位置する。源泉は安達太良連峰船明神ふなみようじん山北西側のぬまたいら西方障子しようじヶ岩の谷底に湧出し、近世の湯小屋は源泉付近にあった。宝暦元年(一七五一)の発見と伝える。近世には当温泉の湯垢採取の権益をめぐって二本松藩領安達郡深堀小屋ふかぼりこや(現二本松市)白木城しらきじよう村との間で境争論となった。同五年の裁断書(猪苗代町史)によると、元禄国絵図などを論拠として白木城村が勝訴し、湯垢採取は同村の権益とされたが、慣例により湯銭は深堀小屋、小屋銭は白木城村が取扱うこととなった。以後、白木城村民が交互に湯守を勤めていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沼尻温泉」の意味・わかりやすい解説

沼尻温泉
ぬまじりおんせん

福島県中央部、耶麻(やま)郡猪苗代町(いなわしろまち)にある温泉。安達太良山(あだたら)西麓(ろく)に位置する。泉質硫黄泉南方の沼尻硫黄鉱山(ぬまじりいおうこうざん)から引き湯した湯治場であったが、スキー場、観光道路などが整備されて近代化し、磐梯(ばんだい)朝日国立公園の観光基地の一つとなっている。JR磐越西(ばんえつさい)線猪苗代駅から途中までバスの便がある。

原田 榮]

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