磐梯(読み)ばんだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磐梯」の意味・わかりやすい解説

磐梯(町)
ばんだい

福島県中北部、耶麻郡(やまぐん)の町。磐梯山、猫魔(ねこま)ヶ岳などの山麓(さんろく)に広がる。1960年(昭和35)町制施行。JR磐越西(ばんえつさい)線、磐越自動車道が通じる。中心地区の大寺(おおてら)は近世二本松(にほんまつ)街道の宿駅として発達、近くの本寺(もとでら)には徳一(とくいち)の開基と伝えられる会津仏教文化の中心をなした恵日寺(えにちじ)があり、旧寺地は慧日寺跡(えにちじあと)として国の史跡に指定され、また資料館もつくられている。東部の磨上原(すりあげはら)は1589年(天正17)蘆名(あしな)氏と伊達(だて)氏が戦った古戦場。1914年(大正3)日橋(にっぱし)川に猪苗代第一発電所(いなわしろだいいちはつでんしょ)が完成し、その電力を利用する亜鉛精錬所(現、日曹金属化学会津工場)が設置された。産業は米作ソバ、野菜栽培など農業が主体。かつては養蚕も盛んであったが、激減している。豪雪地帯で特別豪雪地帯の指定を受けている。磐梯山一帯は磐梯朝日国立公園域で、磐梯山ゴールドラインが通じる。面積59.77平方キロメートル(境界一部未定)、人口3322(2020)。

[安田初雄]

『『磐梯町史』全6巻(1985~1999・磐梯町)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「磐梯」の意味・わかりやすい解説

磐梯[町] (ばんだい)

福島県北西部,耶麻(やま)郡の町。人口3761(2010)。磐梯山の南西麓に位置し,JR磐越西線が通じる。平安初期に徳一によって開かれたと伝える慧日(えにち)寺の境内地が,ほぼ現在の町域であり,その門前町として発達した大寺(おおてら)が中心集落である。慧日寺の寺領は会津4郡に及び,東北の高野山とも称されていたが,たびたびの戦火によって,堂塔伽藍はことごとく失われた。現在,慧日寺跡は国の史跡に指定されている。近世は会津藩に属し,猪苗代と若松を結ぶ中継地として経済上重要な位置を占めた。近代に入ると南端を流れる日橋川の豊富な水資源を利用して発電所が建設され,化学工場も立地して,工業都市的性格をもつに至った。第2次大戦後一時過疎化が進行し,また公害問題も生じた。1970年に開通した磐梯ゴールドラインは,裏磐梯観光のメーンルートで,リゾート施設が立地する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「磐梯」の意味・わかりやすい解説

磐梯[町]【ばんだい】

福島県中西部,耶麻(やま)郡の町。磐梯山南西斜面と会津盆地東部を占め,中心集落の大寺(おおてら)は二本松街道の宿駅として発達,磐越西(ばんえつさい)線が通じる。米作,畑作を行う。東日本大震災で,町内において被害が発生。59.77km2。3761人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android