国指定史跡ガイド 「法華寺旧境内」の解説
ほっけじきゅうけいだい【法華寺旧境内】
奈良県奈良市法華寺町にある寺院。指定名称は「法華寺旧境内 法華寺境内(ほっけじけいだい) 阿弥陀浄土院跡(あみだじょうどいんあと)」。法華寺は平城宮の東に隣接する寺院で、全国に造られた国分尼寺の総国分尼寺であった。745年(天平17)に聖武天皇の皇后、光明皇后がその皇后宮を寺院(宮寺)とし、まもなく「法華滅罪之寺」としたことに始まる。平安時代には衰退し、鎌倉時代以降復興と罹災を繰り返したが、重要文化財に指定されている本堂、鐘楼、南門は再建され、今にいたるまで法灯を伝えている。法華寺の旧境内は平常宮東宮の東に接し、西を東二坊坊間路、北を一条条間路、東は東二坊大路を境とし、南限については、奈良時代後半から平安時代にかけての二条条間路に開く大規模な門が発見されたことから、二条条間路を境とする、南北3町、東西2町に及んでいたことが判明している。旧境内における調査は、1952年(昭和27)の現本堂の解体修理にともなって行われて以降、数多く行われた結果、本堂の下、およびその南と東にそれぞれ柱筋を揃える東西棟3棟が確認された。また、南門の南約40mの地点で、本堂下およびその南の建物の中軸線上に乗る推定桁行7間(12.74m)、梁間4間(7.28m)の東西棟が検出され、金堂と考えられている。境内の南西部には759年(天平宝字3)から翌年にかけて建立された阿弥陀浄土院があり、光明皇后の一周忌がここで営まれたといい、浄土式の庭園が配されていた。国の史跡指定は2001年(平成13)、2005年(平成17)には範囲が広げられて追加指定された。近畿日本鉄道奈良線近鉄奈良駅から奈良交通バス「法華寺」下車、徒歩すぐ。