津波堆積物(読み)ツナミタイセキブツ

デジタル大辞泉 「津波堆積物」の意味・読み・例文・類語

つなみ‐たいせきぶつ【津波堆積物】

津波によって運ばれてきた砂や泥が陸上に堆積したもの。沿岸低地の地層中に含まれている場合は、過去の津波の規模範囲を調べる手がかりになる。→イベント堆積物

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「津波堆積物」の解説

津波堆積物

津波によって削り取られた海底や海岸付近の土砂陸地に運ばれ、堆積したもの。堆積した年代から津波の発生時期を推定でき、歴史記録がない時代地域の津波を解明する手がかりとなる。広域の掘削調査堆積物分布を調べれば、津波の規模や浸水範囲を知ることができる。東日本大震災で注目され、各地で調査が進んでいる。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「津波堆積物」の意味・わかりやすい解説

津波堆積物
つなみたいせきぶつ

大規模な津波によって、海底から巻き上げられた砂や泥が、陸上に運ばれて堆積したもの。普段は陸上の堆積物がたまっているところへ、貝殻破片を含んだ砂や泥が堆積することになる。陸上に堆積した津波堆積物は浸食されやすいが、海岸付近の湖や沼などに流れ込んだものはそのまま保存されていることが多い。

 この津波堆積物を、研究者が特定して年代を決定することにより、古文書に記述されていない古い時期の津波の襲来時期を明らかにしたり、津波が押し寄せた範囲を明らかにすることができる。869年(貞観11)の貞観地震(じょうがんじしん)による津波堆積物は、仙台平野の広い範囲で確認されており、2011年(平成23)の東北地方太平洋沖地震の津波に匹敵する規模の津波であったことが明らかにされている。

[村田明広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android