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貞観地震 じょうがんじしん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

貞観地震
じょうがんじしん

貞観11(869)年5月26日に三陸沖(→三陸海岸)を震源として発生し,大規模な津波を伴った巨大地震。震源は北緯 37.5°~39.5°,東経 143°~145°,地震の規模はマグニチュードM)8.3と推定されている。現在の宮城県から福島県の沖合いで発生した海溝型巨大地震とみられ,古文書による唯一の記録である『日本三代実録』によると,城郭,倉庫,門櫓,垣壁が崩れ落ち倒壊するもの無数,人々は倒れて起きることができないほどであったという。その後,津波が襲来し,海水が城下にいたり,溺死者が 1000人であったと記載されている。城下とは国府のあった仙台平野北部に位置する多賀城(→多賀城跡)と考えられている。また古文書には「流光昼のごとく陰映した」との記述もあり,日本最古の地震による発光現象の記録と考えられている。1990年頃からの地層調査により,この地震による津波堆積物が仙台平野から福島県相馬にかけて分布していることが明らかにされた。また津波堆積物の調査により,仙台平野に遡上した津波は,当時の海岸線から 3~4km内陸まで到達したこともわかった。確認された津波堆積物の位置をもとに,貞観地震を引き起こした断層は,日本海溝に平行で長さ 200km,幅 50kmであったと推定された。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

貞観地震

貞観11年5月26日(現在の暦では、869年7月13日)に発生した。1990年代に入って津波による堆積(たいせき)物や痕跡に関する研究論文が発表されるようになり、地震の規模はマグニチュード8・3~8・4で、宮城・福島県沖で長さ200キロ、幅85キロにわたり、約6メートルの断層が生じたと見られている。

(2011-06-23 朝日新聞 朝刊 新潟全県 1地方)

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デジタル大辞泉の解説

じょうがん‐じしん〔ヂヤウグワンヂシン〕【貞観地震】

貞観11年5月(869年7月)、三陸沿岸を襲った大地震。倒壊と津波による被害で、多数の死者が出た。特に津波は多賀城下を襲い、内陸部まで広く水浸しとなった(貞観の大津波)。地震の規模はマグニチュード8.3。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

貞観地震
じょうがんじしん

869年(貞観11)5月26日(ユリウス暦7月9日、グレゴリオ暦7月13日)の夜に東北地方の太平洋沖で発生した巨大地震。貞観三陸地震ともいわれる。901年(延喜1)に成立した歴史書である『日本三代実録』によれば、この日、陸奥国(むつのくに)で大地震があり、強い揺れで立つこともできず、倒れた家屋の下敷きになって圧死した者や、地割れに飲み込まれた者もいた。また、城下に大津波が押し寄せ、1000人ほどが溺死(できし)し、後には田畑も人々の財産もほとんど残らなかったという。ここで陸奥国の城とは、多賀(たが)城(宮城県多賀城市)と解釈するのが一般的である。
 津波堆積(たいせき)物の分布から推定される仙台平野や石巻(いしのまき)平野での津波の遡上(そじょう)範囲は、当時の海岸から最大で3~4キロメートルも内陸に及び、これは2011年(平成23)東北地方太平洋沖地震による津波の遡上範囲と近い。福島県北部ではこの地震に伴う海岸の沈降が確認されており、地殻変動の面からも2011年東北地方太平洋沖地震と類似点がある。津波堆積物から復元された浸水範囲を基にした計算からは、震源域は仙台沖を含む日本海溝沿いで2011年東北地方太平洋沖地震のそれと一部が重なっていたと考えられ、地震の規模は少なくともモーメントマグニチュード(MW)8.6と推定されている。津波堆積物などの研究からは、貞観地震と比較される巨大地震の繰り返し間隔は500~800年と推定され、1454年(享徳(きょうとく)3)11月23日(ユリウス暦12月12日、グレゴリオ暦12月21日)に発生した享徳地震が2011年東北地方太平洋沖地震の一つ前の事例にあたるとする考えもある。[藤原 治]

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