日本大百科全書(ニッポニカ) 「浄明道」の意味・わかりやすい解説
浄明道
じょうみょうどう
浄明忠孝道(ちゅうこうどう)ともいう。新道教の一派。東晋(とうしん)の許遜(きょそん)を祀(まつ)る江西省新建県の西山にある玉隆万寿宮(ぎょくりゅうばんじゅきゅう)の道士劉玉(りゅうぎょく)が1297年に開創した。教説は三教帰一説にたって、儒教道徳、とくに忠孝の内面的倫理を重んじ、老荘的な悟得、仏教的な救済、道教の昇仙の所説を融合し、「済民救世」の実践を強調した。中国近世の士人・庶民の間に広く信奉された善書(ぜんしょ)(倫理の実践的指導書)の一つである『功過格(こうかかく)』の基本となった『太微仙君(たいびせんくん)功過格』は、1171年、玉隆万寿宮の会真堂(かいしんどう)の道士又玄子(ゆうげんし)によって作成された。
[秋月観暎]
『秋月観暎著『中国近世道教の形成』(1978・創文社)』