浦観音寺(読み)あしうらかんのんじ

日本歴史地名大系 「浦観音寺」の解説

浦観音寺
あしうらかんのんじ

[現在地名]草津市芦浦町

大慈山と号し、天台宗。本尊十一面観音。宗教法人名は観音寺。堀をめぐらした広い境内に阿弥陀堂・書院(国指定重要文化財)宝庫などがある。織豊期から蔵入地代官船奉行を勤めたことで知られ、芦浦観音寺館跡として県指定史跡。寺伝によれば、聖徳太子開基秦河勝が創建したと伝える。白雉二年(六五一)に奈良法隆寺覚盛が再興、天平三年(七三一)三論宗として再建され、僧房二八宇を数えたという(大安寺三綱記)。その後天台宗に改宗、応永一五年(一四〇八)歓雅が再興したとされる。享徳二年(一四五三)九月二三日の足利忠政御教書(芦浦観音寺文書、以下同文書は省略)で、普観ふかん寺の末寺として寺領が安堵された。明応元年(一四九二)一二月六角氏の被官九里氏の手兵が乱入し、財物の掠奪を働いたが(「蔭涼軒日録」同二年一月三日条)、これは当寺が第二次六角征伐のとき陣所であったことによるとみられる。なお長享―延徳(一四八七―九二)頃の住持了忠は、普観寺の住持でもあり(同書延徳四年六月七日条)、この頃同寺は当地にあったと考えられる。

永禄一一年(一五六八)六月、織田信長は寺領安堵の判物を発給し、同年九月には禁制を下した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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