浮島稲荷神社(読み)うきしまいなりじんじや

日本歴史地名大系 「浮島稲荷神社」の解説

浮島稲荷神社
うきしまいなりじんじや

[現在地名]朝日町大沼

おお沼のほとり、字大比良おおひらにあり、広大な境内に本殿幣殿拝殿などが立並ぶ。祭神宇迦之御魂命・天熊之大人神。旧県社。近世には浮島明神と称した。社伝によれば、白鳳期に役証覚の草創と伝える。稲荷信仰の隆盛は平安時代以降、真言密教ととけあってからといわれる。朝日岳の雄大な姿とその麓の神秘の湖とが古代社会の崇拝と結び付き、真言宗の広がりとともに農耕神としての稲荷信仰を生み出したのであろう。建久四年(一一九三)には大江広元の推挙により源頼朝が社殿を再建したと伝える。以後寒河江さがえ庄の大江氏・最上氏の崇敬を受け発展し、慶安二年(一六四九)には徳川家光から一二七石余の朱印状を得ている。当社への参詣者の多くは出羽三山参詣の途中に立寄っている。参詣者は山主別当大行だいぎよう院に宿泊、役銭を払い見物参詣した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の浮島稲荷神社の言及

【朝日[町]】より

…南西部の大半は磐梯朝日国立公園の山岳地帯で占められており,朝日温泉,朝日川第1・第2発電所が峡谷部にある。町北部の大沼は浮島(名)で知られる景勝地で,朝日岳の登山道にあたり,古くから朝日岳信仰の基地となった浮島稲荷神社がある。町域の大部分は山林原野で,険しい地形のため耕地面積は限られるが,主産業は農業で,特にリンゴ生産が盛ん。…

※「浮島稲荷神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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