歌枕としては[ 二 ]の[ 一 ]と[ 二 ]の二箇所があるが、平安時代には専ら[ 一 ]を言い屏風絵にも描かれていて、中世以降にみえる[ 二 ]の方は「信太の浮島」と言って区別することが多い。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
浅い池沼中に浮動する島で、高層湿原中の池沼や、老衰期の浅い富栄養湖などにみられる。浮島の形態は大小さまざまであるが、一般に湖底からの泥土や植物の枯死体で形成された泥炭などを基盤とし、表層は湿生植物で覆われている。よく発達した浮島には、大木の生育する巨大なものがあるといわれる。浮島の成因には、単に湖岸の一部が離れて池中に浮くものと、池底の泥炭が浮上して生ずるものとがある。また、湿原下の泥炭の部分が分解し、夏季、ガスを発生して底質の一部とともに上昇し、冬にふたたび沈むという周期的な浮島もある。山形県朝日町の浮島大沼(うきしまおおぬま)にある浮島は、湖流の複雑な動きに対応して動くといわれる。尾瀬ヶ原湿原の池塘(ちとう)には多数の浮島がみられ、イボミズゴケやヒメシャクナゲなど高層湿原植物で覆われている。また鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市祁答院(けどういん)町の藺牟田池(いむたいけ)にはヨシ、アンペライ、ヒトモトススキなどの低層湿原が発達し、国の天然記念物に指定されているが、増水期には湿原の一部が泥炭層から分離して池の面に浮かび大小の浮島となる。
[奥田重俊]
山口県南東部、周防(すおう)大島(大島)の北方にある島。大島郡周防大島町に属す。面積2.30平方キロメートル。大島北岸の日前(ひくま)から北東5キロメートルにあり、大部分花崗岩(かこうがん)からなる。中世には陶(すえ)氏水軍宇賀島衆の根拠地であったが、厳島(いつくしま)の戦い(1555)で全滅した。島内はよく耕地化され、ほとんどがミカン園。浮島漁港があり、漁業はイワシ網、小型底引網を行う。夏はキャンプ地、海水浴場としてにぎわう。人口251(2009)。
[三浦 肇]
海岸で島や岬を眺めたとき、それらと水面との境界が切れ込んで見えたり、場合によっては島や岬が浮き上がって見える現象。暖かい海面上に冷たい空気がある場合、すなわち上冷下暖の状態のときにおこる。逃げ水の現象と同じ仕組みで、島浮き、浮景(ふけい)などともいう。日本の近海ではほとんど毎日のようにこの現象を見ることができる。これに反して、冷たい海面上に暖かい空気がある場合(上暖下冷)には、船が空中に浮き上がって見える。このとき、とくに地平線下のものが浮き上がって目に見えるようになる現象をルーミングloomingという。
[大田正次]
植物や植物遺体(泥炭または枯死体)からなり,湖沼や河川に浮遊する島。浮島が浮遊するのは,植物や植物遺体のもつ浮力と浮島内部に発生するメタン,二酸化炭素などのガスによる浮力によっている。日本では,尾瀬ヶ原に代表される高層湿原の池沼に浮島は多くみられ,池底から水面に浮上したコウホネ類などの浮葉植物の根茎や,水面に長く伸びるミツガシワの根茎を核にしてスゲ類やミズゴケ類が侵入して浮島が発達することが知られている。大きさは普通は数m2程度までだが,時には数haに発達する(京都市深泥池,山形県琵琶沼)。泥炭塊が浮遊する場合(鹿児島県藺牟田池)や浮島に高木が生育する場合(和歌山県新宮藺沢)もある。高層湿原以外でも,ヨシ,マコモなどの抽水植物が岸から離れて浮島となる場合がある。熱帯・亜熱帯では,ホテイアオイ,ボタンウキクサなどの浮遊植物やイネ科・カヤツリグサ科の抽水植物からなり,浮芝suddとよばれる浮島が広く見られ,船の航行に障害となるほど巨大に発達する場合がある。乾季に露出した湖底・河底に生えて繁茂した植物が,雨季の増水とともに底から離れて浮島となる場合も知られている。
執筆者:藤田 昇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…泥炭の厚さは時には1m以上に達し,減水時は底に固定されているが増水時には浮いて漂う。これが浮島で,泥炭形成植物群落は天然記念物になっている。またジュンサイやヒシもとれる。…
…霞ヶ浦南岸にあり,村域は霞ヶ浦沿岸の低地から筑波稲敷台地の東端にかけて広がる。東部の浮島は明治期までは霞ヶ浦に浮かぶ島で,古くは紀貫之の歌にも詠まれたが,大正期以降の干拓で地続きとなった。かつては早場米地帯で米作が中心であったが,近年は野菜の生産がふえている。…
…
[湿原の遷移]
泥炭湿原のでき方には,湖沼の陸化による場合と,草原や森林の排水不良や湧水での沼沢化による場合とがあり,沼沢湿原,低層湿原,高層湿原へと進行するのが普通である。貧栄養な湖沼では,スゲ類が浮島となったり岸辺から開水面にマット状に張り出し,その上にミズゴケ類が発達して直接高層湿原化する場合がある。陸化型の場合は,湿原の層序の下層に湖成堆積物の層が出現するのでわかる。…
※「浮島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加