浮線綾(読み)フセンリョウ

デジタル大辞泉 「浮線綾」の意味・読み・例文・類語

ふせん‐りょう【浮線×綾】

文様を浮き織りにしたあや
文様の名。丸文で、内部を4分割し、唐花からはな四方に配したもの。→臥蝶ふせちょうの丸

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精選版 日本国語大辞典 「浮線綾」の意味・読み・例文・類語

ふせん‐りょう【浮線綾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 文様を浮き織りにした綾織物
    1. [初出の実例]「まづこの袋を見給へば、唐のふせむれうを縫ひて、上といふ文字を、上に書きたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
    2. 「裏書〈略〉余装束唐装束也。紗表衣、浮線綾下襲」(出典:殿暦‐長治元年(1104)八月六日)
  3. ふせんちょう(浮線蝶)の丸
    1. [初出の実例]「浮線綾とは、官家の袍、下襲、表袴等に付る紋なり。むかしは臥蝶とて、てふといふ虫をふせたる形なり。〈略〉故に浮線蝶ともいふ」(出典:随筆・古今沿革考(1730))
  4. 紋所の名。を図案化したもの。浮線花綾などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浮線綾」の意味・わかりやすい解説

浮線綾
ふせんりょう

有職文様の丸文の一種本来は文様の線を浮かして織った綾織物名称であったが,その文様にもっぱら臥蝶 (ふせちょう) の丸などの大型円文を用いたため,後世はこうした大型円文を浮線綾と呼ぶようになった。狩衣 (かりぎぬ) ,直衣 (のうし) ,二倍 (ふたえ) 織物の上紋 (うわもん) などに使われる。

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