日本大百科全書(ニッポニカ) 「海上災害防止センター」の意味・わかりやすい解説
海上災害防止センター
かいじょうさいがいぼうしせんたー
海上防災のための措置を実施し、そのために必要な船舶や機材の保有、防災訓練、国際協力などを行うことを目的として2013年(平成25)に設立された一般財団法人。海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)に規定する指定海上防災機関に指定されている。所在地は横浜市西区みなとみらい。
1972年(昭和47)財団法人海上保安協会のなかに設置された海上消防委員会に始まり、1974年財団法人海上防災センターが設立された。1976年認可法人海上災害防止センターとなり、2003年国土交通省所管の独立行政法人となった。2013年独立行政法人を解散し、その権利義務を承継した現在の機関が設立された(設立当初の名称は海上災害防止協会)。
防災業務としては、船舶の海難事故などによる油や有害危険物質の流出に対処する。これには大量の油などの流出で緊急を要するときに海上保安庁長官の指示による場合(1号業務)と、遭難した船舶の所有者などの委託による場合(2号業務)とがある。これらの防災処理は全国ネットワークを形成している契約防災措置実施者が即時に対応することになっている。消防業務としては、2隻の消防船を保有し、東京湾における船舶火災に対処している。また、機材業務として、油回収装置、オイルフェンス、油処理剤などを全国各地に配備して事故に備えている。さらに、神奈川県横須賀市に防災訓練所、東京湾第二海堡(かいほ)に消防演習場が設置されており、船舶乗組員などを対象とした研修、訓練、防災指導に使われる。そのほか、防災技術、防災対策などの調査・研究、情報の収集、海外からの研修生の受け入れなどの国際協力も行っている。
[編集部]