海正八幡神社(読み)かいしようはちまんじんじや

日本歴史地名大系 「海正八幡神社」の解説

海正八幡神社
かいしようはちまんじんじや

[現在地名]阿南市橘町

たちばな湾に面した大浦おおうらにある。旧村社。主祭神は誉田別命。橘湾は袋状に内陸部に切れ込んでおり、湾の入口には小勝こかつ島などが点在し、阿波松島ともよばれる景観と天然の良港にめぐまれていた。鎌倉時代末期から室町時代には当地桑野くわの保に属しており、当時は橘八幡宮と称され、橘宮・海八幡宮ともよばれた。社伝によると、当初は内陸部の現内原うちわら町のしずみねにあったが、文永六年(一二六九)現在地に移されたという。創建には現内原町山下やました近辺を本貫とした成松氏がかかわったとされ、同氏の氏神社であったと伝える。現在神官である織原家には元亨二年(一三二二)から応永一七年(一四一〇)までの文書一八通が伝わる(ただし半数は近世の写)。そのうち一五通は神主職や社領に関するもので、これにより中世における当社の動向の一端が知られる。

元亨二年二月日の神主職宛行状写(海正八幡神社文書、以下とくに断らない限り同文書)によると恒正は橘宮神主職に補任されている。建武三年(一三三六)一一月一九日の源重長宛行状写によると源重長から伴恒光に対し海八幡宮の神主職と桑野保内の免田が宛行われている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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