デジタル大辞泉
「消つ」の意味・読み・例文・類語
け・つ【▽消つ】
[動タ四]
1
㋐火を消す。
「世はただ火を―・ちたるやうに」〈源・匂宮〉
㋑なくす。消滅させる。
「世を保ち給ふべき御宿世は―・たれぬものにこそ」〈源・少女〉
2 蔑視する。ないがしろにする。けなす。
「つひにこの人をえ―・たずなりなむ事と、心病みおぼしけれど」〈源・澪標〉
3 心の平静さをなくさせる。
「肝魂を―・ちて思ひける程に」〈平家・一一〉
4 圧倒する。
「いかばかりならむ人か、宮をば―・ち奉らむ」〈源・東屋〉
[補説]平安時代、和歌や和文に多く用いられた。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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け・つ【消】
- 〘 他動詞 タ行四段活用 〙
- ① 火の燃焼をとめる。また、明かりを消す。
- [初出の実例]「富士の高嶺(たかね)は 〈略〉 燃ゆる火を 雪もて滅(けち) 降る雪を 火もて消(けち)つつ」(出典:万葉集(8C後)三・三一九)
- ② なくす。除きさる。また、否定する。
- [初出の実例]「ふじのねのならぬおもひにもえばもえ神だにけたぬむなしけぶりを〈紀乳母〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇二八)
- ③ 他人を軽視する。ないがしろにする。また、悪く言う。
- [初出の実例]「さすがに心うつくしう、人をもけたず、身をもやむごとなく、心にくくもてなし添へ給へる事と」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ④ 価値をそこなう。
- [初出の実例]「この母君のかくてさぶらひ給をきずに言ひなしなどすれど、それにけたるべくもあらず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
- ⑤ 他人を圧倒する。
- [初出の実例]「宮の御有さまにはえ並び給はじ〈略〉いかばかりならん人か宮をばけちたてまつらむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
消つの語誌
( 1 )上代文献には「けつ」の仮名書き例はない。「万葉集」の「令消」「消」「滅」などは「けつ」と訓じられ、「けつ」は「けす」の古語であるとする説もあるが、平安初期の訓点資料には「けつ」「けす」両形が現われており、いずれが古いか確定できない。
( 2 )一般に、平安時代の和歌・和文には「けつ」を用いて「けす」を用いず、平安時代後半期の訓点資料では「けす」を用いて「けつ」を用いない。鎌倉時代以降は徐々に「けす」に統一されていく。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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