日本大百科全書(ニッポニカ) 「湖底平野」の意味・わかりやすい解説
湖底平野
こていへいや
湖が干上がって生じた、シルトや粘土からなる平坦(へいたん)な平原。アメリカのユタ州やネバダ州の山間地(内陸盆地)には、かつての多雨期に多雨期湖とよばれる湖がたくさんあった。グレート・ソルト・レーク周辺にあったボンネビル湖などが代表であり、これらが干上がって湖底平野になったのである。カリフォルニア州南部のデス・バリー(死の谷)のように、塩が集積した湖底平野もある。デス・バリーの北西にある「競争場」とよばれる湖底平野では、大きな石が、数百メートルもの距離を強い風によってすべり動かされることが知られている。
温暖湿潤気候(温帯多雨気候)下にある日本では、湖が消失する過程で河川の運搬土砂が湖底に堆積(たいせき)して三角州や扇状地になることが多い。また、日光の戦場ヶ原や尾瀬ヶ原などの標高の高い地域の湿原にも植生があり、泥炭層に覆われていることなど、乾燥地域の湖底平野とは様相が異なる。
[池田 宏]