溶媒効果(読み)ヨウバイコウカ

化学辞典 第2版 「溶媒効果」の解説

溶媒効果
ヨウバイコウカ
solvent effect

】液相反応の反応速度や平衡に及ぼす溶媒の効果.反応分子や活性錯体の活量係数は溶媒の性質によって変化する.これは反応の形式によって異なり,極性分子またはイオンを含む反応では溶媒との静電的な相互作用が重要である.この場合には誘電率イオン強度が関係する.一方,中性分子間の反応では,分散力が重要な因子になる.【溶液の吸収または発光スペクトルに及ぼす溶媒の効果.有機化合物の溶液の吸収あるいは蛍光スペクトルは,一般に溶媒の種類によって波長強度も変化する.たとえば,無極性溶媒中での溶質の吸収帯は溶媒の屈折率が増すと一般にレッドシフトする.極性溶媒中では溶媒の特殊な相互作用,たとえば水素結合や電荷移動などの起こる場合があり,ブルーシフトまたはレッドシフトのどちらのシフトもみられる.これらの現象は,溶質と溶媒の分子間の相互作用によるものである.相互作用を大別すれば,分散力,双極子間の静電相互作用,水素結合,電荷移動の相互作用などに分類される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の溶媒効果の言及

【赤方偏移】より

…これと逆に短波長側にずれることを青方偏移blue shift(ブルーシフト)という。化学における例として,無極性溶媒中の溶質のスペクトルは溶媒の屈折率が増すと一般に長波長側にずれる現象がある(溶媒効果)。また分子の吸収スペクトルは,その化学構造の変化に伴って長波長側にずれることがある(深色効果)。…

【溶剤】より

…液相反応において,溶剤は反応速度,平衡関係に大きな効果を及ぼす。これを溶媒効果といい,溶剤の誘電率,イオン強度などに依存する。一般に,溶剤として広く用いられているものの例として,石油軽質留分,アルコール,トルエン,エーテル,アセトン,ハロゲン化炭化水素などがあげられる。…

※「溶媒効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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