漢中盆地(読み)かんちゅうぼんち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「漢中盆地」の意味・わかりやすい解説

漢中盆地
かんちゅうぼんち / ハンチョンペンティー

中国、陝西(せんせい/シャンシー)省南西部、揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン)の支流である漢水(かんすいハンショイ)の上流部に開けた盆地東西80キロメートル、南北10~15キロメートル余り。北は3000メートル級の秦嶺(しんれいチンリン)山脈で陝西省中部の渭河(いが)平原と隔てられ、南は2000メートル未満の米倉(べいそう)山、大巴(だいは)山を隔てて四川(しせん/スーチョワン)省と接する。気候的には南方湖北(こほく/フーペイ)省、四川省に近く、亜熱帯気候に属し高温多湿である。沖積平野には土壌もよく発達し、豊富な農産物を産出する。行政上は漢中地区に属し、中心都市漢中のほか、東部に洋(よう)県、城固(じょうこ)県、西に勉(べん)県がある。

[秋山元秀]

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改訂新版 世界大百科事典 「漢中盆地」の意味・わかりやすい解説

漢中盆地 (かんちゅうぼんち)
Hàn zhōng pén dì

中国,陝西省南西部の断層陥没盆地。秦嶺と大巴(だいは)山脈の西部米倉山の間にあり,漢水の河谷平野が発達,東西約80km,南北約10km。北の渭河平原,南の四川省,南東湖北省に通じる交通の要所であるため,秦が楚をおさえこの地域をえて以来,しばしば係争の舞台となった(漢中)。秦嶺の障壁作用により寒波がさえぎられ,無霜期が長く,水稲栽培を主とした農業がさかんな地域である。
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