潜函病は、潜函作業(潜函工法など)やスキューバダイビングなどの高気圧環境下にいた人が、地上・水面に上がることによって急激な圧低下にさらされた時に発生します。
急激な減圧により生体内に生じた
なお、病名の語源となっている潜函工法とは、水底や地下水面下に建設物を構築する場合の工法のひとつで、円筒状または箱状のケーソン、あるいは地下室全体を地上で築造し、下部を掘り下げて沈設する方法です。
ガスの溶解量はガス分圧に比例するため、高気圧環境下では血液や脂肪などの組織に多量の窒素が溶解します。
浮上すると環境圧が低下するので、組織中の窒素溶解量は過飽和となり、溶解窒素が血液から
Ⅰ型の減圧症では、皮膚の
Ⅱ型の減圧症は、頭痛、けいれん、
可能なかぎりすみやかに酸素再圧療法(高気圧治療)を行うこと、気泡による血管内凝固、血液濃縮、神経系の浮腫など二次的な障害を取り除くこと、呼吸循環管理を中心とした対症療法を行うことが治療の要点です。
高気圧治療とは、大気圧より高い環境(高気圧酸素治療装置)によって行う治療法で、大きく分けて高気圧酸素療法(コラム)と酸素再圧療法があります。酸素再圧療法は、気泡の再溶解、窒素の洗い出し、および組織低酸素症の改善が目的です。
吉岡 敏治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
潜函作業(ケーソン工法)時にみられる減圧症のことで、ケーソン病ともいう。
[編集部]
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…また慢性症状として,骨の破壊の生じることが知られている。このような障害を減圧症decompression sicknessというが,減圧症は潜函(ケーソン)作業や加圧シールド工法など高圧下作業でも発生する危険があり,潜函病(ケーソン病caisson disease)と呼ばれる。予防としては,深度と滞在時間に応じた段階的減圧法を行うことが不可欠であるが,減圧時に純酸素やヘリウムを呼吸させる方法も行われている。…
※「潜函病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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